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ミレニアム開発目標サミット

アジアの出来事

アジア

新領域研究センター 山形 辰史
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この記事は2010年9月27日にデイリープラネット(CS放送)「プラネットVIEW」でオンエアされた『ミレニアム開発目標サミット』(山形辰史研究員出演)の内容です。

Question民主党党首として再選間もない菅首相が、先週ニューヨークで開催されたミレニアム開発目標サミットに参加したと聞きましたが、この「ミレニアム開発目標」とは何なのでしょうか。

Answerはい、まず経緯から申しますと、国連が2000年に、新しい千年、つまり新しいミレニアムが始まったのを記念して、世界中の国の首脳を集めて会議を開催しました。その場でこの首脳たちが、世界平和のためのミレニアム宣言を発表し、これを実現するために設けられたのがミレニアム開発目標です。
ミレニアム開発目標は、8つの目標のセットとなっていまして、具体的には、

(1)極度の貧困と飢餓の撲滅,(2)普遍的初等教育の達成, (3)ジェンダー平等の推進と女性の地位向上,(4)乳幼児死亡率の削減,(5)妊産婦の健康の改善,(6)HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病
表1 ミレニアム開発目標

となっています。

Questionなるほど、しかしこのような目標を立てるのはいいのですが、これらの目標は少しでも実現しているのでしょうか。

Answerはい。これまで多くの国際機関が様々な目標を掲げてきたのですが、その多くは実現されないだけでなく、ほとんど記憶さえされていなかったわけです。しかし、それらに比べればミレニアム開発目標はうまく機能している方だと思います。というのはいくつか理由がありまして、一つには、これまでばらばらに設けられていた目標がセットにされたこと等が挙げられます。しかしうまく機能したことの一番の理由は、いわゆる成果主義が採用されたことにあります。

Question成果主義と言いますと、私たちに身近なところでは、会社で実績に応じてお給料が増減する、あれのことですか?

Answerはい、そうです。成果主義とは、目標への到達度を測る数値指標と、達成までの期限を明示し、期限内に目標が達成できるかによって賞罰を与える仕組みです。開発途上国の中でミレニアム開発目標の到達度が高い国には、これまでと同様な制度・政策の枠組みで、先進国からの援助が継続されますが、到達度が低い国は、大きな方針転換をしなければ、援助が継続されない、といった仕組みで運用されています。

Questionなるほど。そうしますと、これら8つの目標は、それぞれの開発途上国で、どの程度達成されているのでしょうか。

Answerはい、主要地域の現在までのおおよその達成度を、国連、世界銀行等の情報を参考にして、表にまとめてみました。中国やマレーシア、タイなどを含む東アジアの達成度が高い一方、インドなどの南アジア、そしてアフリカにおける達成度が低いことが分かるかと思います。また、初等教育や、教育に関する男女間の平等は、地域を問わず達成度が高いのに対して、乳幼児や妊産婦の保健に代表される「母子保健」は、どの地域でも大きな問題として残っていることが分かるかと思います。ミレニアム開発目標は2015年を最終的な達成期限にしていますので、今回のサミットでの反省を踏まえて、残り5年間、目標達成のための努力が改めて必要とされています。

表2 ミレニアム開発目標達成度

Questionさて、その「努力」ですが、今回のサミットでは菅首相が、教育・保健分野を中心に、2011年からの5年間で援助を85億ドル増額することを約束しました。これによってODAは年額で2割増し程度に膨らむわけですが、これ以外に、日本を含む先進国が取り組まなければならないことは何でしょうか?

Answerはい、残りの5年間、このミレニアム開発目標達成のために取り組まなければならないことは当然ですが、その一方で、この5年間だけで世界の貧困が全て解消されると考えるのには無理があります。ですから、2015年以降、ミレニアム開発目標の後継となる目標設定と、その目標達成のための制度設計が求められます。現在のミレニアム開発目標は、単純化されて分かりやすいのが長所ですが、その反面、障害者ですとか、児童労働、人身売買、不法な臓器取引といった人権侵害の問題がこぼれ落ちているという短所があります。それらをどのように取り入れて目標設定するか、といったことが課題となっています。