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2008年立法委員選挙および公民投票

アジアの出来事

台湾

地域研究センター 竹内 孝之
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2008年1月12日、立法委員選挙と公民投票が行われた。立法委員選挙では、中国国民党(以下、国民党)が全議席数の71%にあたる81議席を獲得して圧勝し、民進党は僅か27議席に止まった。公民投票には国民党の不正資産追及案(民進党)と反腐敗案(国民党)があったが、国民党は一方の提案者でありながら有権者にボイコットを呼びかけ、いずれも不成立に追い込んだ。なお、陳水扁総統は兼任する民進党主席を辞任し、謝長廷・元行政院長(同党の総統候補)が後任となった。

立法委員選挙結果 (議席数、カッコ内は得票率)
  小選挙区 先住民枠 比例区・華僑枠 合計
民進党 13(38.1%) 0 14(36.9%) 27
国民党 57(53.5%) 4 20(51.2%) 81
その他 3 (8.4%) 2 0 (11.9%) 5
合計 73 6 34 113
(出所)中央選挙委員会。ただし、小選挙区の得票率は、自由時報の報道を参照。

今回の立法委員選挙は、初めて(日本とほぼ同様な)小選挙区比例代表制の下で行われた。これは地滑り的な結果になりやすい選挙制度である。また、台湾では国民党の地盤である過疎県に最低1選挙区ずつ、人口の2%を占める先住民(「原住民族」)にも6議席割り当てられる。そのため、国民党の勝利はある程度、予想されていた。しかし、今回の結果は事前予想を超えるものとなった。民進党は北・中部で2議席しか取れないという壊滅的な敗北を喫したほか、民進党の票田とされる南部でも半数近くの選挙区を国民党に奪われてしまった。

民進党の敗因には、総統自身の経費流用疑惑や相次ぐ閣僚・政務官の逮捕、経済格差など、陳水扁政権への不満が指摘されている。また、国民党は中国寄りとされるが、最近は総統選挙対策のために「台湾意識」(台湾アイデンティティ)を重視する姿勢を見せてきた。さらに、国民党の立法委員といっても、多くは本省人である。つまり、台湾意識の代弁者としての民進党の比較優位も弱まっている可能性がある。

ただし、総統選挙の行方はまだ分からない。民進党やその支持者は危機感を強めるはずである。また、謝長廷と馬英九(国民党の総統候補)はいずれも台湾意識を訴えながらも、現実的な政策を掲げる点で共通する。しかし、馬英九は外省人で、台湾語が流暢ではないというハンディがある。さらに、総統選挙では国連加盟および復帰に関する公民投票が同時実施される。国連復帰投票は、国民党が「台湾意識」重視を誇示するため提案したものである。ところが国民党は、今回の公民投票をボイコットしたため、国連復帰投票の意図についても有権者から疑われる可能性がある。
2008年1月