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内閣と軍隊で異動、赤字が続く国家財政

アジアの出来事

朝鮮民主主義人民共和国

地域研究センター 中川 雅彦
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4月11日に最高人民会議第11期第5次会議が開かれ、内閣事業報告と財政報告、内閣総理の交代と国防委員会での異動が発表された。

内閣事業報告では工業生産増加率が2004年度、05年度に続いて発表されず、工業生産の回復のテンポが芳しくないことを伺わせる。財政報告では計画で7.1%増を見込んでいた06年度歳入に関して、実績が4.4%増にとどまったことが発表された。歳出のほうは計画の99.9%の執行に抑えられたと発表されたが、収支を計算してみると04年度以来の赤字が克服できていないことがわかる。また、07年度には歳出総額が3.3%増、国防費が歳出総額の15.8%を占めると計画されている。06年度のシェアが16%であったことから計算すると、国防費は2.0%増で計画されていることになる。内閣事業報告では06年10月の核実験で「不敗の国防力」を持ったことにより今後「すべての力を経済建設に集中する」と述べているものの、財政報告では国防費が依然として財政を圧迫していることがわかる。

内閣総理にはこれまでの朴鳳柱に代わって金英日が任命された。金英日は1994年から陸海運相の地位にあった。この陸海運省は傘下に、それぞれ事実上の企業グループである海運管理局、港湾水上運輸管理局、自動車運輸管理局、外国船舶事業局などを有し、省自体もこれらを集めた一つの巨大な企業グループとして法人税に相当する国家企業利得金を国家に納めている。同省による納付は2000~04年度の財政報告でわざわざ言及されるほど好成績であった。金英日の総理就任はその経営手腕が国家の経済運営で期待されていると見ることができる。

国防委員会では金永春が委員から副委員長に昇格した。4月21日発の朝鮮中央通信で、金永春は人民軍の作戦指揮を担当する総参謀長の職からはずれ、代わって金格植が就任したことが明らかにされた。金格植はこれまで前線西部の軍団長であったことから、人民軍が陸上戦力中心の組織であり続けると見ることができ、核戦力を中心とした作戦体系をとるとは考えにくい。経済担当者たちは核実験によって軍事的負担が軽減され、その分の資源を経済建設に回すようになることを期待しているようであるが、軍隊のほうに今のところ大きな変化を見出すことはできない。
2007年5月