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行政長官選挙に民主派候補参戦の見通し

アジアの出来事

香港

地域研究センター 竹内 孝之
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香港では2007年3月、行政長官選挙が予定されている。これに先立ち12月10日、その選出機関である選挙委員会の選挙が行われた。11日に結果が判明し、民主派は行政長官の立候補に必要な選挙委員100名の推薦を確保した。

選挙委員は全800名で、職能団体毎の制限選挙で選出される。区議会と立法会の議員および、全国人民代表大会や全国政治協商会議の香港代表が兼職する他、選挙人が僅かなため業界・職能団体内部で非公式に選出されるケースも多く、半分は無投票当選した。財界に有利な制度であり、民主派は従来、必要な推薦者数を確保できなかった。

しかし今回は、2006年3月に結成された公民党が、梁家傑(アラン・リョン)立法会議員を擁立した。民主党も協力して、法律、高等教育、教育の選出枠で圧勝し、IT、会計、エンジニア、社会福祉、衛生サービス等の選出枠でも善戦した。114名を当選させ、民主派立法会議員20名と合わせて134票を確保した。現地では、快挙として大きく報道された。ただし、3月の本選挙では、曾蔭權(ドナルド・ツァン)行政長官が圧勝する見通しである。

しかし、2012年の行政長官・立法会選挙は、曾長官、親政府派、民主派を問わず、普通選挙化がコンセンサスになっている。実現すれば、民主派が立法会の多数派となり、行政長官を輩出する可能性が非常に高い。民主派に対抗できるのは民主建港連盟(親中左派)だけである。財界・商工業者を支持基盤とし、職能団体別選出枠に依存してきた自由党は勢力を縮小し、香港政府は保守的な経済政策を変更する可能性も出てくる。さらに中央政府が中国本土への影響や香港の変化を嫌い、民主化に条件を付けることも考えられる。一方、民主派も万全ではない。もし、民主党が公民党の勢力拡大を恐れて2008年立法会選挙での協力を拒めば、前回(2004年)同様、民主建港連盟に敗北するだろう。

今後、短期的に香港の政治が大きく変わる可能性は小さい。しかし、今回の出来事は、長期的な香港の変容過程における第一歩になると思われる。
2006年12月