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9次総選挙に向けて選挙管理内閣成立

アジアの出来事

バングラデシュ

地域研究センター 村山 真弓
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10月27日、5年の任期満了に伴い、バングラデシュ民族主義党(BNP)率いる連合政権が辞職、29日には、非政党選挙管理内閣が誕生した。

国会総選挙を選挙管理内閣の下で実施するというバングラデシュ独自のシステムは、民主化運動で軍事政権が退陣した直後の1991年総選挙をモデルとし、96年に憲法第13次改正で制度化された。選挙での与党の不正、介入を防ぐのがその目的である。過去4回成立した選挙管理内閣の首班(Chief Advisor諮問委員長)は、憲法に基づき、前最高裁長官が就任してきた。これも、91年当時、シャハブッディン最高裁長官(後、大統領就任)が選挙管理内閣の長として、成功裏に選挙を遂行したことに倣ったものである。

ところが今回、諮問委員長候補のハサン前最高裁長官については、BNP寄りとの見方が強く、また憲法改正による任期延長で「前」最高裁長官となったという事実もあり、主要野党のアワミ連盟(AL)は、同長官の下では選挙に参加しないと表明していた。その去就が注目された同長官は、27日の政権退陣後、諮問委員長就任を辞退した。街頭では、同日夜に行われたジア首相の退陣演説終了直後から、全国各地で与野党支持者の衝突による流血騒ぎが発生し、死傷者は多数に上った。

28日、人選について与野党間の合意に至らぬまま、イアジュッディン大統領が諮問委員長兼任を申し出、翌29日、正式に諮問委員長に就任した。ALは、この大統領案に難色を示したが、30日、ハシナAL総裁が、大統領を表敬し、11月3日までに選挙管理委員会の改編、官僚・警察機構の中立化など11項目の課題を実施し、同大統領・諮問委員長の政治的中立性を証明するよう申し入れた(ただし3日に、期限を10日まで延長した)。

選挙管理内閣の最大の任務は、90日の任期内で、自由・公正な選挙を実施することである。まずは人事異動等を通じて行政機構の中立性を示し、諸政党から選挙参加の確証を得ることが必要である。また選挙公示以後は、治安の確保がまして重要な問題となる。与野党間の唯一のコンセンサスともいえる選挙管理内閣制度が、発足から躓いたことで、大統領に課された重圧は、5年前よりも大きい。1月末に予定される選挙に向けて、同内閣が山積する課題にどう対応するか、その一挙一動が注目されている。

(非政党選挙管理内閣制度と第8次総選挙の実施過程については、拙稿「バングラデシュの選挙制度—自由・校正な選挙を目指して」『アジ研ワールド・トレンド』第78号、2002年3月を参照されたい。)
2006年11月