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中全会開催、権力固めに入る胡錦濤総書記

アジアの出来事

中国

佐々木 智弘
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10月8日から11日まで中国共産党第16期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が開かれた。来年秋の第17回党大会を占う上で重要な会議で、2つの注目点があった。

会議では「社会主義調和社会構築に関する決定」が採択された。都市と農村、沿海部と内陸部の経済格差、弱者による集団抗議行動の多発などによる社会不安が深刻な状況にあり、調和のとれた社会を構築し社会安定に導くことが謳われ、人々の権益保障のための法整備や社会保障制度の整備など、2020年までの目標が9項目打ち出された。この決定の内容は、第17回党大会で総書記に再任確実な胡錦濤が表明する施政方針の主要内容となるが、「親民」(人々に近づく)、「人を基本とする」、「科学的発展観」などこれまで胡錦濤が掲げてきたキャッチフレーズの内容とさほど変わらない。胡錦濤政権が抱える課題の深刻さと政策の手詰まり感を見て取ることができる。

6中全会直前の9月24日、上海市の社会保険基金の資金流用事件に関与したとして市のトップである市党委員会(党委)書記の陳良宇が解任され、彼の中央政治局委員(党内序列1位から24位までで構成)の職務も停止された。そのため、6中全会では陳良宇の捜査結果と中央政治局委員解任が正式に発表されることが予想されたが、発表されなかった。

陳良宇の失脚は単なる汚職絡みではなく、第17回党大会での胡錦濤の権力固めと大きく関わっている。第1に汚職を理由に、胡錦濤にとっての対抗勢力である江沢民(前総書記)グループに属する陳良宇を失脚させることで、同様に汚職疑惑のある中央政治局常務委員(同1位から9位までで構成)の黄菊(同6位)と賈慶林(同4位)を第17回党大会で引退に追い込み、江沢民グループの力を削ぐことができるからである。第2に2004年からの中央の経済引き締め政策などに抵抗する地方指導者に対し見せしめ効果となるからである。

6中全会前に陳良宇を失脚に追い込んだことで、胡錦濤は権力を掌握したかに見えた。しかし6中全会で陳良宇関連の発表がなかったことは、胡錦濤が江沢民グループとの権力闘争にまだ勝利していないことを意味している。特に胡錦濤と江沢民自身や江沢民の元側近の曾慶紅(同5位)との関係は複雑で、注意が必要である。この状況では胡錦濤が第17回党大会で、李克強遼寧省党委書記や李源潮江蘇省党委書記など自らの腹心を中央政治局委員に抜擢できるかどうか予断を許さない。第17回党大会まであと1年、さしあたっては陳良宇の捜査結果と中央政治局委員解任がいつ発表されるかに注目したい。
2006年10月