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ODA管理実施体制の改善に向けた動き

アジアの出来事

ベトナム

地域研究センター 荒神 衣美
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9月後半、計画投資省はODAの管理実施に関する新たな議定の草案を完成させた。この新議定は、2001年から現在までODAの管理実施を規定してきた議定17号に代わるものとなる。新議定のポイントは、(1)ODAプロジェクトの管理権限の分権化、(2)ODA関係省庁・機関(計画投資省、財務省、ベトナム国家銀行、政府官房)の役割の明確化、(3)監査・評価体制の強化、といった点にある。

ベトナムのODA管理実施過程には多様な機関や政策規定が複雑に絡み合っているために、責任の所在が明らかでなかったり透明性が確保できなかったりといった問題点があることは、援助ドナー等によってかねてから指摘されていた。そうしたなか、2006年初に発覚したPMU18事件によって、複雑なODA管理実施体制を簡素化する必要性がより強調されることになった。PMU18事件とは、ODA案件を含むインフラ建設プロジェクトを多く担当する交通運輸省・道路橋梁建設部門第18プロジェクト管理局(Project Management Unit18: PMU18)の幹部および交通運輸省幹部による、運輸セクターの公金を資金源とした大規模な贈賄事件のことである。使い込まれた公共事業資金にODA資金が含まれていたという疑いから、2006年4月頃のベトナム各紙では、ODA管理実施における関係省庁・機関の責任の在り方や監査・評価体制などについて批判的に評する報道が目立った。

ODA管理実施体制の改善に向け、ベトナム政府は新議定作成のほかにも、ODAと深く関わる省庁・機関についてODA資金管理に対する監査を実施するなど、様々な対応に努めている。2006~2010年5カ年の経済・社会発展計画において低所得国からの早期脱却を目標として掲げたベトナム政府にとって、今後5年間でODA管理実施体制を改善し、貧困削減および経済成長の基盤整備に向けてODAを有効活用することは重要な課題のひとつである。
2006年10月