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天然ガスへの依存を強めるミャンマー経済

アジアの出来事

ミャンマー

地域研究センター 岡本 郁子
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外貨不足は、ミャンマー経済が常に直面してきた大問題である。周知の通り1988年の民主化運動の弾圧以降、ミャンマー向け政府開発援助は基本的に停止された。1990年代末になって輸出向け製造業(委託加工による縫製業)が外貨獲得業種として発展の兆しをみせるが、2003年にアメリカがスーチー書記長拘束に反発し経済制裁を実施したため、大きな打撃を受け低迷を続けている。このような中で、外貨不足は一向に改善されず、外貨準備高が輸入の1~2ヶ月分にまで低下した時期もあった。そして外貨不足が深刻さをますほど、政府は場当たり的に貿易・外貨規制を強化し、それが民間部門の経済活動の大きな足かせになるという悪循環を繰り返してきた。

しかし今日まで、ミャンマー経済は決定的な破綻を迎えるにはいたっていない。その大きな要因の一つは、2000年以降の天然ガス輸出の開始にある。タニンターリー管区沖のヤダナ・イェタガウンの両ガス田から産出される天然ガスはタイに輸出され、2003/04年にはミャンマーの輸出総額の約25%を占めるようになった。

そして2004年には、ヤカイン州北部沖に新たな天然ガス鉱区が発見された。これらシュエー、シュエー ・ピューと呼ばれるガス田の埋蔵量はヤダナ・イェタガウンの2倍(14~20兆立法フィート)にものぼると見られている。このガス田は、ミャンマー・エネルギー公社(MOGE)、韓国の大宇(Daewoo) 、韓国ガス公社(KOGAS)、インド・ガス公社(GAIL)、インド石油ガス公社(ONGC Videsh)のコンソーシアムによって開発が進められている。この鉱区からの天然ガスの輸出先は、資源獲得を急ぐ中国、インドが中心になると見られ、2009年からの輸出が計画されている。

天然ガス輸出のさらなる拡大は、ミャンマーの外貨制約を大きく緩和することは間違いない。しかし、こうした天然資源への過度の依存が、抜本的な経済改革、工業化をしばしば遅らせることはよく知られている。同時に、こうした一種の棚ぼた的な権益を独占することにより現政権の支配基盤が強化され、民主化への動きがさらに遅れるのではないか、という懸念も拡がっている。
2006年8月