skip to contents.

障害者問題への取り組み

アジアの出来事

ベトナム

地域研究センター 寺本 実
PDFpdf(16KB)

ベトナムには約500万の障害者がいると伝えられる(“Report on the Social Protection for Helpless Elderly, Disabled People and Orphans in Vietnam”Social Protection Department, Ministry of Labour, Invalids and Social Affairs, 1999. この数字は若干古いが多くの研究者により言及される数字。傷兵、病兵そして枯葉剤被災者も中には含まれよう。関係者へのインタビューによれば数年後に再度調査が実施される予定である)。これは2004年推計人口の約6.1%に相当する。最新の動向や統計に出てきていない障害者数を加えればその数字はさらに上がることが予想される。ちなみに、そのまま比較できないとは思われるが日本での障害者比率は人口の約5%である。

労働・傷病兵・社会問題省の資料に基づくベトナム紙の報道によれば、女性で16歳~55歳、男性で16歳~60歳という年齢層にベトナム障害者の約7割が該当する。だが職業訓練を受けた15歳を超える障害者の比率は全体の約2.5%、そして64あるベトナムの省級行政区(日本でいえば県に相当する)のうち33省・中央直轄市で約16000人の障害者が企業で働いているにすぎないという。これらの人たちは主に傷兵、病兵、軽度の障害者である。

ベトナムでも企業に障害者の法定雇用率を課し、それを満たせなければ障害者雇用基金にお金を納めることを定めた制度がある。同財源は障害者の労働機能回復、職業学習、雇用創出の支援などのために使用されることになっている。しかし、ベトナムでは障害者の労働能力を高く評価する事業主もいる一方で、「毎年一定のお金を慈善社会基金に貢献すれば十分であると大部分の事業主が考えている」との指摘がある(Nhan Dan紙2006年5月3日)。

眠っている「可能性」が多くあることは十分予想できる。2005年、ベトナム北部のある省で障害者の生活調査を行なった際、聴覚に障害があり話すことができないものの、それ以外は健常な青年がいた。青年は手話を学んでおらず、手話を学ぶことにより開けるであろう「可能性」がそのまま眠っていた。

2006年1月に障害者問題への取り組み促進を求める首相指示が出された。職業訓練や働く機会という側面だけでなく、現政権にとって障害者問題全般は等閑視できない大きな課題となっている。
2006年8月