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アロヨ大統領が5大地域圏構想を打ち出す

アジアの出来事

フィリピン

地域研究センター 鈴木 有理佳
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7月24日、フィリピン議会において第13議会第3会期が開会した。例年、新会期の開会日には大統領が施政方針演説を行うが、今回、アロヨ大統領はさらなる経済発展を目指すとして5大地域圏構想を打ち出した。その内容は各地域の特色を生かして次のようになっている。

  • 北部ルソン-コルディリェラ、イロコス、カガヤン・バレー地方から成り、アグリビジネスの育成を優先。

  • メトロ・ルソン-中部ルソン、マニラ首都圏、カラバルソンなどから成り、工業・サービスの中心地として国際競争力を強化。

  • 中部フィリピン-ビコールやビサヤ地方に加えて、パラワンや北部ミンダナオの島々を含み、主に観光地としての育成を図る。

  • ミンダナオ-アグリビジネスの育成を優先。

  • サイバー・コリドー(Cyber Corridor)-北部ルソンのバギオからミンダナオのダバオまでの全地域の主要都市から形成される。情報通信技術と教育面において強化を図る。


  • アロヨ大統領がこうした地域圏構想を打ち出したのは、一つに政治課題となっている大統領制から議院内閣・連邦制への移行の足がかりとすること、そしてもう一つは2007年の中間選挙を意識してのことだと思われる。特に議院内閣・連邦制への移行は、まさに昨年の施政方針演説でアロヨ大統領自身が掲げたものである。当時の計画では、今年の今頃はすでに憲法改正が実施され、体制移行が終了しているはずであった。だが、実際には進展していない。一方で、地方経済の活性化をもたらす諸策は地方政治家が最も歓迎する。大統領選挙不正捜査疑惑などにより国民の信頼が低下し、国軍内部でクーデター騒ぎもあったアロヨ政権にとって、来年の中間選挙のことを考えるとここは地方政治家の支持を得ておきたいところであろう。

    しかしながら、上記構想は大統領自身も演説で触れたように各方面におけるインフラ整備が前提となっている。そしてそのためには莫大な財政資金が必要である。2008年に均衡財政を達成しようとしているフィリピン政府が、今後この構想にどう取り組むのかが注目されよう。
    2006年7月