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流通株への転換と大企業経営支配の帰趨

アジアの出来事

中国

地域研究センター 今井 健一
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2005年4月末の証券監督管理委通達により始動した上場企業非流通株の流通株転換は、同年6月に三一重工が実施第一号となって以来、一年あまりが過ぎた。この間の進展はめざましく、今年7月上旬時点で非流通株の流通株転換に着手ないし完了した国内上場企業は、すでに全体の約8割にあたる1,092社に達している。

中国上場企業の株式は、自由に譲渡できる流通株と、市場での流通を原則禁止される非流通株の二種類に大別されていた。非流通株は国家株と法人株に二分されるが、後者の過半は国有企業が保有する国有法人株であり、非流通株の大部分は国有株とみなされる。非流通株は発行済み株式の約3分の2を占め、結果的に政府・国有企業による上場企業支配を固定化してきた。株式の大半が流通を認められないという構造の下では、比較的少額の取引による株価操作が可能であり、株式投資の投機化は免れない。資本市場の発展による企業経営の近代化をめざす中国政府にとって、非流通株問題の解決は長年の課題だった。

流通株への転換後一年間を経過すれば、非流通株を保有していた大株主は、保有株式の段階的な放出を認められる。流通株転換の進展は、潜在的には中国大企業の経営支配権の帰趨を左右する可能性をはらんでいよう。外資や民営企業による上場企業買収が増加することはまちがいない。だが同時に見落としてならないのは、流通株転換が直ちに中国上場企業の民営化につながるわけではないという事実である。外資・民間企業が産業政策上重要な大企業を買収することに対して、中国政府は依然慎重である。一方宝山鋼鉄による邯鄲鋼鉄のTOBの試みのように、流通株転換をきっかけとして国有企業再編の動きも浮上している。株式の流動化が中国大企業の経営支配をどのように塗り替えていくのか、今後注意深く観察する必要があるだろう。
2006年7月