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深刻化する陳水扁総統のレイムダック化(2006年6月)

アジアの出来事

台湾

地域研究センター 竹内 孝之
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レイムダックとは、退任間近の政治家が影響力を失うことである。ところが、陳水扁総統は任期を丸2年残して「憲法規定にある職務を除き、実権を下部機関へ委譲する」と宣言し(5月31日)、側近の馬永成総統府副秘書長と林錦昌国家安全会議諮問委員も翌日に辞任した。今後は蘇貞昌行政院院長が政権運営を担い、人事も刷新する意向である。
原因は、以下に挙げた陳総統の側近や家族等のスキャンダルである。
  • 陳哲男・元総統府副秘書長:高雄MRT(地下鉄)汚職が明らかとなり(昨年8月)、起訴される。
  • 呉淑珍総統夫人:陳哲男からSOGO(太平洋崇光百貨)商品券を受け取り、またSOGOの人事に介入したと報道される(4月)。
  • 龔照勝金融監督管理委員会主任委員:台糖会長時代の汚職疑惑により、職務停止処分となる(5月12日)。
  • 謝清志国家科学委員会副主任委員:台南科学園の振動対策工事(新幹線対策)に関する汚職疑惑にて拘禁され、即日辞任 (5月24日)。
  • 趙建銘(陳総統の娘婿、台湾大学付属病院勤務医):
     台湾土地開発公司株のインサイダー取引で逮捕される(5月25日)。
     医薬品メーカー6社、彼への贈賄容疑で家宅捜索される(同26日)。
一方野党は、親民党が陳総統の辞任を求め、総統府前で集会を開いた(6月3、10日)。馬英九国民党主席は当初、総統罷免に慎重だった。だが、7日に総統辞任を求める署名活動の実施を指示し、国民党立法院団も総統罷免案提出を決めた。
総統罷免は立法院の3分の2の同意が必要なため、実現困難である。そこで野党は9月に行政院院長不信任案を提出し、台北、高雄市長選挙(12月予定)の運動期間にまで攻防を引き延ばすつもりである。しかし、その場合、行政院長は総統に立法院解散を要請できる。次期立法院の定数は昨年の憲法改正により半減されるので、立法委員には諸刃の剣となる。
影響が長引けば、与党民進党内でも陳総統への辞任要求が強まるかもしれない。その場合、総統に昇格できる呂秀蓮副総統と国民党の王金平立法院院長が同盟を組むとの噂もある。いずれにせよ、今後の動向が注目される。
2006年6月