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終盤に差しかかった盧武鉉の改革政治(2006年4月)

アジアの出来事

韓国

地域研究センター 渡辺 雄一
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「右派守旧政治と既得権益層の打破」を掲げてきた盧武鉉政権の左派革新政治は4年目に突入した。これまで盧大統領は、行政面での首都機能移転、新聞法や私立学校法に見られる既得権叩き、韓米同盟の再定義・対日強硬姿勢・対北宥和路線と連動した「北東アジアバランサー論」の提唱など、内外両面でアンチ保守の進歩的改革を断行してきた。

なかでも政権の威信をかけて精力的に取り組んでいるのが、韓国史の清算作業である。昨年5月に成立した過去史基本法に続き、同年12月には「親日反民族行為者財産の国家帰属特別法」が成立している。それを受けて、今年3月に検察当局は親日派子孫が所有する不動産の売買禁止を求める仮処分申請を裁判所に提出し、親日派の財産没収の動きが始まった。

期を同じくして韓国政府は、日本植民地時代に海外徴用された死傷者やその遺族に対する慰労金支給などの救済策を決めた。これは昨年公開された日韓国交正常化交渉の外交文書で、韓国政府の自国民に対する戦後補償の不備が判明したことを受けて講じた自省的かつ道義的な措置であろう。

また、政府は1980年代の民主化運動鎮圧を問われ有罪判決が確定していた全斗煥、盧泰愚元大統領らの叙勲剥奪も決めた。4月には、盧大統領自らが、国家権力の濫用として象徴的な「済州島4・3事件」(1948年)の犠牲者慰霊祭に大統領として初めて出席し、遺族らに直接謝罪の言葉を述べている。

3月に接待ゴルフ問題で引責辞任した李海?前首相に代わり、盧大統領はすぐさま後任に与党ウリ党出身の韓明淑首相を擁立した。初の女性首相であり、同じ民主化運動出身の韓首相の登用は、改革イメージの維持と併せて5月末の統一地方選もにらんだ「コード人事」と見られる。

一方の外交面では、竹島・歴史問題での大統領特別談話(4月25日)に見られる対日強硬と、経済支援を拡大する対北傾斜に拍車が掛かっている。任期が残り2年を切りレームダック化が懸念されるなか、外交をテコに政権安定を図っていくのか、盧大統領の理念政治の行く末が注目される。
2006年4月