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Q&A ケニア前回総選挙(2007年)データとその取り扱い

ケニア情勢レポート

アフリカ研究グループ 主任研究員 津田 みわ
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【質問】

ケニアの選挙について調査をしており、2007年に行われた大統領選挙および国会議員選挙の結果のデータの入手方法を探しております。具体的には、大統領選挙、国会議員選挙について、210の選挙区における各候補者の得票数を探しております。

ところが、ご案内のとおり、ケニア選挙管理委員会(Electoral Commission of Kenya: ECK)のウェブサイトが閉鎖されており、公式なデータが入手できません。様々なデータベースも探してみたのですが、見つかりませんでした。

「キバキ政権発足後のケニア憲法見直し問題-2005年新憲法案の国民投票否決を中心に-」『アジア経済』(2007年第48第4号) http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Ajia/200704.html において、選挙区毎の結果をDairy NationおよびECKのデータをもとに複製されているのを拝見し、同様に、2007年の選挙の結果を取り纏められておられないかと思いメールを差し上げました。

インターネット上にあるウェブサイト(http://kenyavotes.org/)は、すべての結果をカバーしておりません。当方の調べ方に問題があるかと思いますので、入手の方法等、ご教示いただけたら、幸甚であります。

お忙しいところ、不躾なメールで大変恐縮でございますが、ご教示いただければと思います。

【津田からの回答】

はじめまして。丁寧なご照会のメールをありがとうございました。

これまで調べた状況や、お手持ちの資料を詳しく書いていただき、様子がよく分かりました。興味深いご質問をいただいて、嬉しく感じました。ありがとうございます。

以下、回答と参考情報です。

1.選挙区ごとの結果データ

私が、2008年時点でECKサイトなどから入手したものdoc(772KB)です。URLやダウンロードの日付などは表に掲載してあります。

2.留意点

1. 発表された「選挙結果」への留保の必要
ご存じのように、2007年総選挙は、選挙管理委員会の中立性への深刻な疑義と、特に開票・集計段階での不正、結果発表後の紛争勃発、という重い「失敗」をその特徴としています。ECK発表の「選挙結果」が受け入れられたのは、紛争調停と和解の産物に過ぎません。

2007年総選挙の「失敗」を調査するため、ケニアでは特別な調査委員会が設けられました。その報告書はここからがダウンロードできます。ご参考まで。
http://www.dialoguekenya.org/report.aspx

2. 国会議員選挙結果のキャンセル
上の1.との関連ですが、大統領選挙の結果は、そのまま受け入れとなりました。一方、国会議員選挙結果については、下記の3選挙区結果はキャンセルされました。
Kamukunji
Kilgoris
Wajir North
うち、Kamukunji選挙区国会議員選挙結果については、2008年8月に再集計がおこなわれ、当選者が決定されました。
Kamukunji:
Simon Ng'ang'a Mbugua (PNU) 22,614 当選*
Ibrahim Hamed (ODM) 16,016
*詳しすぎるかもしれませんが、補足です。

Mbuguaのこの当選を不服とする訴訟が起こされ、2011年1月に当選無効判決が下されました。Mbuguaは議席を喪失しました。

2011年8月の補欠選挙の結果、Yusuf Hassan (PNU)が当選し、現在に至っています。

KilgorisとWajir Northでは2008年6月に補欠選挙が実施されました。
Kilgoris:
Gideon Konchellah (PNU) 33,440 当選
Johana Ng'eno (ODM) 26,088
Wajir North:
Mohamed Gabow (ODM) 5,759 当選
Abdulahi Ali, DR. (KANU) 4,729
(出所)Daily Nation 各号

3. 相次ぐ当選無効判決
上でも少し補足しましたが、2007年国会議員選挙の「結果」については、多くの疑義があり、複数の訴訟が起こされました。

ケニアでは、選挙結果を不服とする訴訟は珍しくありませんが、今日までに合計12議員に対して高等裁判所が当選無効判決を下しており、史上最多です。

当選無効判決が下された議員の選挙区は、以下の通りです:
Westlands, Kirinyaga Central, Starehe, Ikolomani, South Mugirango,
Matuga, Bomachoge, Kitutu Masaba, Juja, Gatundu North, Makadara,
および2.で述べたKamukunji。
まとめますと、
1.に掲載したECK作成発表の「2007年国会議員選挙結果」のうち、3選挙区については、結果そのものが即時キャンセルされ、12選挙区については後に訴訟があり、ECKが「当選」と発表した議員の当選無効の司法判断が下された、という展開です。

ECK発表の「結果」の取り扱いには、特段の注意が必要であり、以上のような経緯への知識が前提になってくると思います。ご参考になれば幸いです。

3.補足:ECKその後

ご指摘のように、ECKのサイトは閉鎖されています。

ECKは紛争後の調停により廃止され、IIECという暫定選挙管理委員会が組織されました。

その後、やはり紛争後の国民和解の枠組みに沿って、2010年には新憲法が制定されたのですが、その新憲法に沿ってIEBCという新しい選挙管理の組織がIIECを後継し、現在に至っています。

現在のケニア選挙管理・画定委員会IEBCのサイトはこちらです。
http://www.iiec.or.ke/
(URLはIIEC時代の名残)

この選管改組の経緯については、ここにも少し書きました。

(PDF)
「ケニアにおける憲法改正問題と『選挙後暴力』:2008年以後の動きを中心に」(津田みわ)
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Report/2009/pdf/2009_405_ch3.pdfpdf(PDF 381KB、21頁)

以上です。
大変長くなり、申し訳ありません。
ご参考になれば幸いです。
(2012年4月24日記)