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ケニア総選挙イヤーの幕開け:日程とICCの動き

ケニア情勢レポート

アフリカ研究グループ 主任研究員 津田 みわ
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ケニアは、今年総選挙イヤーです。が実は、今回は単なるルーティン的選挙ではありません。前2007年選挙は、大統領選結果をめぐって大混乱し、ケニア史始まって以来の深刻な紛争に突入してしまったのです。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Africa/047.html

その後の国際的調停を経て、大連立政権を立てる形で安定を(暫定的に)取り戻し、今日に至ってはいます
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Africa/index.html(このページの津田みわ「2007年選挙後暴力」後のケニア:暫定憲法枠組みの成立と課題」をクリックするとダウンロードできます)。

しかし、「現職を支持していた」などとしてキクユ人らが襲撃の標的となり、その復讐として今度はルオ人らが襲われる…土地問題や選挙での動員を原因として、既存の「民族」が極度に政治化され、千人以上が死亡した前回の紛争からわずか5年。今回の総選挙は、その紛争後初めての総選挙あり、その行方はケニアの今後を左右するといっても過言ではありません。

ところが、肝心の次回総選挙は、正確にはいったい何月何日に開催されるのか、というと、実はそれがまだ未定です。ただ、それは別に現職大統領が引退を拒んでいるといった他のアフリカ諸国でよくある理由によるものではありません(大統領選の有力候補は今後も変動しますが、現職の引退はほぼ確実です)。

開催日に関して見るべき第1のポイントは、ケニア高等裁判所の憲法法廷の動きです。議員・大統領の任期5年を全うさせる為、選挙実施を今年12月とするか(来年3月という議論もあります)、それとも2010年新憲法のカレンダーを採用し、今年8月とするか。高裁が今月13日に裁定を下す予定です。http://allafrica.com/stories/201112160097.html

開催日に関する第2のポイントは、準備の遅延です。ケニア新憲法は、民主化の進展を狙って、下院議席増、上院新設ほか、選挙制度も大幅に変更しました。選挙管理委員会自体も刷新され、昨年後半に発足したばかりです。新任当初、選管委員長は「8月の選挙実施は技術的に極めて困難」との見解を表明しており、現在もやっと選挙区割りの最初の案が発表された段階です。
http://www.iiec.or.ke/
http://www.iiec.or.ke/index.php/December-2011/statement-by-iebc-chairman-on-timelines-for-2012-general-elections.html

ケニア総選挙のもう一つの重要なポイントは、大統領選挙の有力候補二人が、2007年の紛争で「人道に反する罪」を犯したとして国際刑事裁判所ICCから容疑者として名指しされている、という点です。この二人(具体的には、現職のウフル・ケニヤッタUhuru Kenyatta副首相と元大臣で現職国会議員のウィリアム・ルトWilliam Rutoです)を裁判にかけるかどうかをICC(予審裁判部)が決定する期限は今月19日です(ケニアのデイリー・ネーション紙2011年11月20日付け第8面)。

現在、世論調査などで最も人気の高い大統領候補は、現職のライラ・オディンガRaila Odinga首相です。オディンガ首相の対抗馬が誰になるのか、ある程度候補の絞り込みが成立する場合、それが誰になるのか。万一、ケニヤッタ副首相とルト議員に対して「ICCでの裁判は行わない」との判断が下された場合、両者にとっては大統領選挙での追い風になることは想像に難くありません。今後の大統領選挙の行方を占う上でも、ICC予審裁判部の決定はカギとなります。

(1)次回総選挙実施の期日決定へと事態が大きく動き、そして(2)二人の大統領選挙有力候補(ケニヤッタ副首相とルト元大臣です)がICCで裁判に付されるかが決まる—今週から来週にかけての動向が大変注目されます。

(2012.1.10記)