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調査研究

研究会一覧 2007年度

2007年度 研究テーマ:1-07
産業クラスター形成に関するフローチャート・アプローチ—内生的R&D・イノベーション・メカニズムを中心に

概要

持続的な経済成長への新しい視点として、本研究会は産業クラスターに注目する。産業クラスター、と呼ばれる経済集積の中では、市場競争と協調により、次々と新しい財とサービスが創出されている。特に1990年代中頃の米国シリコンバレーやボストン地域での成功事例に基づき、経済集積を集計単位とした経済活動に注目が集まった。先進国に限らず開発途上国においても特にインドのバンガロール、メキシコのグアダラハラ等はハイテククラスターとして成長し、民間企業が大学や研究機関、外国企業と連携することにより、新しい技術、製品、ビジネスモデル、サービスが絶え間なく誕生し、市場で新しい需要を開拓している.そこでの観察から、持続的な経済成長の過程で特に重要だと思われる産業を、産業政策を利用し特定の地域に集積させることで、企業や地域の市場競争力を高めつつ、地域経済、やがて一国全体を発展させようとする公共政策的な含意が得られている。

同時に、自然発生した経済集積と、政策的に形成された経済集積のどちらであっても、こうした地域では一旦集積が起こると、集積同士の競争と協調が相互作用し、累積的に経済活動の集中が進み、地域間で見れば経済活動が不均一に分布することになる。経済活動の集中に伴い、新しい財とサービスの創出、というイノベーション機能を有する特定の経済集積は、付加価値の高い産業クラスターとなりつつある。経済集積からイノベーションを内包する産業クラスターへ、という発展過程において、地域に固有の知識、アイデア、ノウハウ等が大きな役割を果たすことが数多くの事例分析によって明らかにされてきた。マクロ経済における持続的な経済成長要因でも、技術進歩や知識水準の重要性が強く指摘されていることから、産業クラスターに関する分析は、持続的な経済成長のマイクロ基礎を提供するだろう。

こうした背景に基づき本研究会では、持続的成長が可能な産業クラスターの実現に対して政策的介入があり得るとすれば、その提案に先立って、第一に、どのような条件が整えば新たにクラスターが形成されるのかをケーススタディを通じて分析する。第二に、産業構造が高度化されるとともに経済集積の競争環境がいかに変化するのか、新技術は経済集積内部や企業内部にどのように導入され、試行錯誤を経てイノベーションが発生しうるのか、といった重要な課題を分析する。経済集積を強めることは、経済活動の不均一な分布を強めることにつながり、そのような政策は、地域の社会厚生に大きな影響を及ぼすと考えられる。特殊な公共政策の実施、その実施の順番に伴う労働者、消費者、大学・研究機関、中小企業、大企業の行動の変化の程度、複数ある政策の補完性の程度、実施された政策が結局どのような効果をもつかが事実に基づいて検証される必要がある。その上で、「証拠に基づく政策策定 (evidence-based policy-making)」を検討する。

期間

2006年4月 - 2008年3月

主査名

朽木 昭文 (理事)

研究会メンバー

朽木 昭文 (理事)
植木 靖
丁 可
町北 朋洋
吉田 健太郎 (在ワシントンDC海外研修生)
辻 正次 (兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科教授兵庫県立大学教授)
岡田 亜弥 (名古屋大学大学院国際開発研究科教授名古屋大学教授)
宮原 勝一 (青山学院大学経済学部准教授青山学院大学助教授)
有田 智一 (筑波大学大学院システム情報工学研究科准教授)

研究成果

ミッション区分