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調査研究

調査研究方針

開発途上国をめぐる現下の情勢認識にもとづき、アジア経済研究所は調査研究方針を定め、各テーマに取り組んでいます。2016年度の調査研究方針は以下のとおりです。

1. 基本方針

1. 基本方針

アジア経済研究所(以下、研究所)は、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカなど開発途上国・地域の貿易の拡大と経済協力の促進に寄与する基礎的かつ総合的な調査研究を行う国の研究機関として、我が国の通商政策・経済協力政策の基盤となる研究を実施する。開発途上地域の現地情勢・現地語に精通した経済学、政治学等の多様な分野の研究者の集積、国内外の研究ネットワークを最大限に活用して、政策立案やビジネスの基礎的材料となる付加価値の高い研究成果と政策提言を創出する。

研究所は、平成26年9月2日総務省「独立行政法人の目標の策定に関する指針」に定める国立研究開発法人の「研究開発の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」の規定が準用されることになったことに鑑み、同指針で課題として提示されている(1)人材の確保育成、(2)適切な資源配分、(3)事業間の連携・融合、(4)能力を引き出すために研究開発環境の整備、(5)他機関との連携・協力といった課題に取り組み、研究成果の最大化を目指す。

適切な資源配分にあたっては、(1)政策担当者へのブリーフィング件数、(2)論文ダウンロード件数、(3)研究成果外部評価、(4)セミナー等開催件数、(5)国際共同研究実施件数等の数値目標達成に必要な成果普及、研究連携を拡充しつつ、以下に示すようにアフリカ、経済地理シミュレーションモデル(IDE-Geographical Simulation Model:以下IDE-GSM)、「ビジネスと人権(政策経費)」、「一帯一路」など重点的に取り組む研究課題を明確にする。また、高度研究人材確保のための任期付研究員制度の整備など環境整備に引き続き取り組む。

(1)政策の基礎となる研究成果の創出を通じた産業・経済・社会への貢献
グローバリゼーションの中でアジアをはじめとする新興国が高い経済成長を続け、日本企業にとっての潜在的市場が拡大する一方で、それに伴い政治・治安情勢の不安定化、地域間格差・所得格差の拡大、資源・環境制約の顕在化等の様々な課題が表面化しており、新興国・開発途上地域研究へのニーズが飛躍的に高まっている。このような課題に応えるため、研究所は、我が国における最大の新興国・開発途上国研究の拠点として、地域研究・開発研究を両軸に、これら地域の政治・経済・社会についての分析を深め、産業の高度化など持続可能な成長を実現していくために新興国が対処すべき課題や今後直面する課題を先取りした研究課題に取り組む。具体的には、新興国、開発途上国における急速な経済成長の背景にある企業活動や、産業組織の実態把握ならびに各国の成長の源泉であるとされる企業の国際市場における国際価値連鎖(Global Value Chains:以下GVC)への参画を可能にするメカニズムの解明に取り組む。また、貿易・投資及び消費の拡大を軸に近年目覚ましい発展を遂げ、アフリカ開発会議(TICAD)を通じた協力に関心が高まるアフリカについての研究を重点的に実施する。さらに、2015年以降の開発目標を定める持続的な開発目標(Sustainable Development Goals:以下SDGs)を念頭に、ジェンダー、開発と障害、格差是正など包摂的成長(inclusive growth)と機会の平等を視座とする研究にも取り組む。

(2)先駆的かつ大学・企業等で実現しがたい研究成果の創出
研究所は、国の研究機関としての特性を活かしながら、大学・企業では実施しがたい研究成果を創出する。具体的には、空間経済学に基づき研究所が構築した「IDE-GSM」の地域的な拡張や応用に取り組み、国際機関、外国政府等の要請にもとづき分析結果を提供する。また、WTOやケンブリッジ大学(予定)と連携した「付加価値貿易分析」をはじめとする最先端の研究をさらに発展させるとともに、国際機関等との連携を強化するため、WTO、世銀等と連携した「GVC Development Report」の作成に参画する。

(3)国際共同研究等の推進を通じた世界への知的貢献
研究所は、WTO、ADB、世界銀行等の国際機関、米カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)、仏国立科学研究センター(CNRS)等、欧米の大学・研究機関との共同研究等を推進し、国内外の優れた研究人材を活用しながら、世界への知的貢献を目指す。

2. 活動方針

活動方針

(1)研究事業
政策提言研究、政策提言に資する分析研究、政策提言の基盤となる基礎的・総合的研究の3つに分けて実施。




[1]政策当局の要請に基づく即応性の高い研究課題に取り組む「政策提言研究」を実施し、政策担当者等に対する研究成果のブリーフィング等を通じて、我が国の通商政策・経済協力政策に寄与するとともに、産業界、相手国政府に対する経済・社会発展、ビジネス機会の創出等に関する政策提言を行う。混迷を深める中東情勢を分析する政策提言研究を継続するほか、「付加価値貿易」、「ビジネスと人権」、「一帯一路」や「ASEAN-インド」など顕在化してきた戦略的な広域経済圏の形成を見据えた課題に取り組む。
[2]「政策提言に資する分析研究」では、「連携研究」として国際機関や国内外の大学・研究機関等との間で共同研究を推進する。また、地域経済の活性化や国際展開等について、地方自治体とも連携した研究を進める。中でも地方自治体との地方連携研究については、物流ハブと地域経済の活性化(沖縄県)、地場産業の国際展開(北陸3県)を主題としたテーマを設定する。「経常分析研究」では、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカの政治経済動向の分析を行い、その成果を定期刊行物とウェブで発信するほか、「IDE-GSM」の地域的な拡張や応用や、非関税障壁として関心が高まっている「国際的な規制や基準への対応」などの課題に取り組む。さらに、「機動研究」では、開発途上地域の緊急発生的な事態や国際情勢の変動など国内外で関心の高い問題に迅速に対応した研究を時宜に応じて実施する。具体的には、2015年11月のASEANサミットにおいてその「完成」が宣言された「ASEAN共同体」の実像と今後の方向性について3つの「共同体」の側面から分析を行う研究ならびに、ラオス人民党大会から総選挙へと続く一連の動向を政治、経済、社会の側面から分析する研究が計画されている。
[3]最新の学術研究動向の把握、産官学のニーズ把握を踏まえ、政策提言の基盤となる基礎的・総合的研究を実施する。

(2)研究成果の発信・普及
出版・講演会・セミナー・ウェブサイト等により、政策担当者、ビジネス界、学界・有識者等、国民各層を対象に、ニーズに応じた成果の普及を図る。
[1]政策立案、ビジネスの企画に研究所の研究成果、リソースを反映させることを目的に、政府・主要企業の中堅幹部、メディア等の政策形成に影響力のある層を対象とした情報提供を積極的に行うとともに、ポリシー・ブリーフの作成等を行う。
[2]ウェブサイトは、時宜にあったテーマ、内容を念頭に、政策やビジネスにも役立つ視点、分析手法、付加価値の高いデータなどに重点を置きつつ強化してゆく。研究成果を広く普及するための取り組みとして、アクセス可能なコンテンツの拡充を図る。
[3]また、国内外におけるシンポジウム・講演会等の開催、学会及び学術雑誌での論文発表、出版活動等を積極的に行う。セミナー・講演会については、大阪での夏期公開講座の実施など国内外各地域及び各界のニーズに対応する。国内外の講演会等の開催にあたっては、研究所の研究員と本部の調査担当者が共に講師を務めるなど、本部及び国内事務所との連携を強化すると共に、ジェトロが有する広範なネットワークを活用し、機動的に実施できるように連携を強化する。
[4]賛助会員を対象としたフォーラムの開催、研究出版物の送付、オンライン閲覧による最新データベースの提供など賛助会員を通じた研究成果の発信・普及に努める。

(3)研究所図書館
[1]開発途上国研究に関する専門図書館として、学術資料の他、各国の政府刊行物、統計書、新聞・雑誌等の多言語にわたる資料(電子媒体を含む)を収集、整備、提供する。非来館利用者の利便性を高めるために、ウェブサイトを通じた貴重資料の電子的提供、および研究成果データベース(AIDE、ARRIDE等)のコンテンツ拡充を進める。研究成果データベースについては、後継システムの調達に向けた仕様策定等の準備を進める。
[2]資料展の実施や図書館共同利用制度を通じて図書館の利用促進を図るほか、大学図書館等でアジ研研究者が著作について語る講演会(ブックトーク)を実施する。
[3]2015年度から民間業者に委託している市場化テスト対象業務については、2016年度が最終年であるため評価を実施する。また、2016年4月から運用を開始する図書館情報システムについては、ビジネスライブラリ—とともにシステム統合による効率的・効果的な運用を行う。

(4)研究交流・ネットワーク・人材育成
研究所の有する開発途上国に関する豊富な知見・研究成果に基づく知的貢献及び成果普及の一環として、理論の理解と実践能力を兼ね備えた日本人開発専門家の国際機関等への輩出、及びアジア・アフリカ地域の開発途上国の行政機関または公的機関の人材育成を目的に、開発スクール(イデアス:IDE Advanced School)を運営する。とくに新アフリカ戦略に基づき開始したアフリカ人研修生の受け入れを継続する。

研究所の情報収集・分析能力の強化のため、開発途上国地域の研究機関・大学並びに欧米等の開発途上国研究機関へ海外研究員を派遣する。また、地域研究及び開発研究の内外の専門家を海外客員研究員・開発専門家等として招聘する。

国際機関、国内外の大学・研究機関との研究連携を推進し、国内外の学会における研究報告、国際機関等における研究所セッションの開催などを通じて、研究ニーズ把握、研究ネットワーク拡充及び研究所の認知度向上を図る。また、研究マネジメント機能の高度化等を通じて研究事業間の連携を促進する。

(5)ERIA支援事業
ERIA支援室は、経済産業省、アジア経済研究所、海外調査部、バンコク事務所等と連携し、研究所を含む16研究機関のネットワークを活用しながら、ポストASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community:以下AEC)時代におけるさらなる東アジアの経済圏の一体的な発展と我が国の成長に貢献することを目的に東アジアASEAN経済研究センター(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia:以下ERIA)への研究支援を行う。ERIAとの連携研究を推進するほか、その成果の国内外での普及活動を実施する。

(6)競争的資金の獲得と効果的活用の促進
研究蓄積と研究者集積を活用し、国際機関・政府機関等からの受託研究、科学研究費助成事業など競争的資金の獲得を推進するほか、外部資金の効果的活用を促進する。

過去の調査研究方針