アメリカ合衆国に暮らすアフリカ人移民の数は増えているが、とくに1990年代以降に渡米したケニア共和国出身のギクユ人は急増している。現在、在米ギクユ人の多くは、看護師などとして長時間働いてアメリカに家を購入し、家族を養い、母国にも送金している。これまで、低開発地域からの出稼ぎ民に関する研究・記録は苦労話に終始する事が多かったが、本研究で示したのは、苦労のなかにも仕事にやりがいを感じ、学歴を高めてステップアップする向上心あふれる姿であった。アメリカ新政権は移民に厳しい姿勢を打ち出している今、勤勉に仕事をこなし、努力する在米アフリカ人の日常を明らかにする事は重要である。