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資料紹介: Confronting Land and Property Problems for Peace

アフリカレポート

資料紹介

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Confronting Land and Property Problems for Peace
■ 資料紹介:Shinichi Takeuchi , ed. ”Confronting Land and Property Problems for Peace”
武内 進一
■ 『アフリカレポート』2014年 No.52、p.104
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武力紛争と土地・不動産問題は密接に結びついている。武力紛争の終結後、難民や避難民の帰還をきっかけにして、土地や家屋の所有権をめぐる争いがしばしば起こる。土地をめぐるローカルな紛争は、政治状況によっては、より大規模な武力衝突へ発展する可能性を持つ。土地・不動産問題への対応は、大規模な武力紛争再発防止の基盤づくりという意味で、平和構築の重要な課題である。

本書は、こうした観点からJICA研究所で取り組まれた研究プロジェクトの成果である。アフリカ4カ国(南スーダン、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ)、アジア2カ国(カンボジア、東チモール)、そしてラテンアメリカ(コロンビア)とヨーロッパ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)を取り上げ、深刻な紛争が起こった国において、土地・家屋に関わる紛争の特質、それに対する政策的対応を明らかにするとともに、あるべき対応策について検討した。8カ国の比較から、帰還民の権利確保、紛争解決メカニズムの機能強化、慣習法的土地所有権の保障といった施策が重点的に講じられるべきと結論づけている。

アフリカ4カ国の事例から、紛争後社会で土地をめぐる問題が様々な形で表出していることが確認できる。南スーダンでは、包括的和平協定の締結後、新政権の中核を担ったSPLA関係者による土地集積が進んだ。ウガンダ北部では、内戦によって慣習的な土地管理メカニズムが弱体化し、土地紛争の頻発に繋がった。ルワンダでは、内戦に勝利して政権を握ったRPFが積極的な土地政策を遂行したが、その過程で土地の供出を強いられた人々は沈黙を余儀なくされている。ブルンジでは、土地紛争仲裁のために設置された委員会が、政権与党の影響を受けて帰還民に有利な裁定を下すようになり、不利な扱いを受けた地元民との間に緊張が高まっている。

これらはいずれも、土地をめぐるガバナンスの問題に帰着する。すなわち、国家が土地をどのように管理するか、いかなる所有権を設定するか、そしていかに紛争を裁定するかという課題である。こうした土地ガバナンスの問題は、国家全体の統治をめぐる課題と深く関係している。本書では、土地ガバナンスの改善が、政府に対する国民の信頼向上を通じて、平和構築に大きく貢献すると主張した。アフリカの土地問題が重要な政策課題として認識されつつある今日、その改善にわずかでも貢献したいと考えて本書を編んだ。読者の批判、コメントをいただければ幸いである。

武内 進一(たけうち・しんいち/アジア経済研究所)