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資料紹介:歴史学研究会編『世界史史料11 二〇世紀の世界Ⅱ ——第二次世界大戦後 冷戦と開発——』 

アフリカレポート

資料紹介

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資料紹介 世界史史料11 二〇世紀の世界Ⅱ
■ 資料紹介: 歴史学研究会編『世界史史料11 二〇世紀の世界Ⅱ ——第二次世界大戦後 冷戦と開発——』 
津田 みわ
■ 『アフリカレポート』2013年 No.51、p.30
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第2次世界大戦の終結から現在までの世界史を主要な宣言・書簡や回顧録などの史料でたどった本書は、実はアフリカ関係史料の宝庫である。題名にこそアフリカの文字はないものの、本書に収録された史料235点のうち、直接アフリカに関連するものだけで30点近くにのぼる。原史料の出所は「定評ある資料集から未刊行の文書館史料まで多岐にわた」る(p.vii)。多様な言語で書かれたそれらを各分野の専門家が担当者となって新たに日本語に訳出し、さらに解説を加える体裁で統一がとられており、学術的な精緻さと読みやすさ・分かりやすさを併せ持つ仕上がりになっているのが本書の特徴である。

アフリカ関連の史料がとくに集中しているのが、第3章第3節「アフリカの年」である。主なものだけで、パンアフリカ自由運動の発足、アフリカ統一機構の成立(いずれも川端正久。敬称略、以下同)、ザンジバル革命(富永智津子)、アフリカ民族会議の武装闘争(峯陽一)、コンゴ動乱とルムンバ暗殺(武内進一)、チャド民族解放戦線の結成とチャド内戦の勃発(坂井真紀子)と続き、「ジンバブウェ民族主義運動のチムレンガ(武力闘争)への方向転換」では永原陽子と並んで吉國恒雄による訳と解説を読むことができる。第3章には、ガーナの独立とンクルマの思想(川端正久)、南アフリカのパン・アフリカニズム、スティーブ・ビコの黒人意識の思想(いずれも峯陽一)も収められている。その他、第1章「戦後世界体制の成立」では仏領西アフリカ(真島一郎)とケニア植民地(津田)が紹介され、第4章では、ビアフラ戦争(望月克哉)、西サハラ問題(高林敏之)、エチオピアの飢饉(栗本英世)、アパルトヘイト体制下の生活、南アフリカにおけるソウェト蜂起(いずれも峯陽一)と続く。

この中で、たとえば「エチオピアの飢饉」では、復興を担当したエチオピアの官僚がアメリカに亡命した後で書いた記録『赤い涙』が取り上げられる。また「アパルトヘイト体制下の生活」でいきいきと訳出されるのは、ある南ア人青年のナラティブ(語り)である。読者が歴史学の地平の広がりにも自然と触れることができる仕上がりである。本書は、様々な史料への専門家による平易な日本語訳と解説で全編が構成された、優れた読み物集にもなっている。アフリカニストはもちろんのこと、広く手にとっていただきたい1冊である。

津田 みわ(つだ・みわ/アジア経済研究所)