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新興国における子どもに関する政策

調査研究報告書

宇佐見耕一 編
2015年3月発行
第1章
中東イスラム社会では、不妊への強いスティグマが存在する一方、イスラム法の影響により養子縁組が不妊解決のための選択肢になりにくいという状況が、不妊治療をはじめとする生殖技術への高い需要を生んできた。生殖技術の利用は、家族のあり方に多大な影響を及ぼすと同時に、当該社会における家族観や生命観、政治的関心、個々人の願望などによって規定される側面を有する。本稿では、中東イスラム社会における、生殖補助技術(ART)を中心とする生殖技術の受容と実践にかんする研究の動向を、英語文献を中心に紹介する。

第2章
子どもを誰がどこで養育するか、についての考えは、社会が子どもの価値や地位をどのように考えているかにかかっている。本稿では、日本および欧米で、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」が締結され、実施されるにあたり、どのような論争が生じ、どのような解決方法をとっているかを概観する。それが各国が子どもやその養育にどのような姿勢を持っているかを知る手がかりになると考えるからである。

第3章
近年社会政策の中でも子育て政策が様々な理由で注目をされるようになった。子育てをする生活者の視点から見た場合に、以下の三点に注目したい。第一は、男女の育児と就労を調和させるために雇用形態や雇用に関する法制及び育児休業制度等の労働法制である。第二に、子育てにともなう経済的負担に対する保障として、扶養控除などの税制や児童手当や子ども手当等の諸手当である。第三に、誰がどこでどのように子育てをするのかという保育サービスと関係した問題群である。本章では、将来的なラテンアメリカを中心とした子育て政策研究の準備作業として、同諸国における育児政策の課題と分析の視角を先行研究の解題をとおして整理することを目的とする。そのために第1節では、先進国で議論されている分析の視点を整理し、第2節において先進諸国に関する子育て政策に関する先行研究をまとめ、どのような課題があるかを明らかにし、第3節においてラテンアメリカ諸国の子育て政策の状況と課題を先行研究を参照してまとめることとする。