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現代ベトナム人の社会意識

調査研究報告書

2014年3月発行
第1章
本稿は、ドイモイ期ベトナムの社会意識に関する既存研究のレビューに基づき、ベトナムにおける今後の社会意識研究の可能性について考察する。既存研究は、全般的に、貧しくとも生活満足度の高い国民、将来への楽観的な見通しをもつ青年、伝統的な価値観の残る農村、家族といった、社会の比較的平穏で安定的な側面を映してきた。しかし、ベトナム人研究者、政府関係者等の間でも、社会分化という現象およびそれに伴う社会意識の変化に対する関心、ないし研究の必要性に対する認識は高まっている。今後は、意識調査を含む様々な社会調査を通じて、異なる価値観の間の摩擦や緊張といった問題にもより率直な目が向けられていくことが期待される。

第2章
職業の多様化や都市情報へのアクセスが進む農村部で、農村民の生活や職業に対する価値観・意識にどのような変化が生じているのかを知るため、既存研究のサーベイを行った。日本語・英語文献が限られるなか、ベトナム語文献についてはベトナム社会科学院・心理学研究所の研究者が中心となり、複数の調査研究を発表していることがわかった。そこでは、農村住民および農村から都市へ出稼ぎに出た若年労働者の、生活水準、社会関係、職業、文化的生活などに対する価値観や意識の変化が調査分析されている。一方で、既存研究では価値観・意識変化の地域性には注意が払われていない。本稿では、アジアバロメータの統合データを利用し、価値観・意識変化に見られる地域性について、若干の考察を試みた。