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首都圏政治の比較研究

調査研究報告書

相沢伸広 編
2014年3月発行
表紙 pdf (405KB)
第1章
首都圏政治の比較研究試論およびバンコク都知事の独立性 / 相沢 伸広
アジア各国に共通した社会動態として、急速な都市化が挙げられる。それゆえに、アジアでは都市をいかにマネージできるかが、社会の安定ひいては政治経済の安定に直結する課題となっている。政治対立の舞台も、貧富の格差も、いまや首都圏/首位都市でもっとも激しく表出し、地域内競争も都市間での競争が核となっている。アジアの地域の安定も地域秩序のダイナミズムも、こうしたアジアの主要な都市、とりわけ首都圏/首位都市の安定、動向にかかっている。本研究会では、上記の問題意識から、急速な都市化といった社会的趨勢に対して、首都圏/首位都市を司る都政、市政がいかなる対応力を有し、変容しているのかを、北京、バンコクに焦点を当てて調査した。大都市圏を司る行政の対応力を測るためにも、第一にそれぞれの市長/都知事の人事にける独立性、予算における独立性について比較をおこなった。

第2章
巨大都市は、国内における影響力が非常に大きく、都市政府の権限も大きいと理解される。そして、産業構造も多様で人口が集中している。また、巨大都市であるゆえに時には国の威信を背負うことになり、通常の政策決定とは異なる何らかのファクターが作用するかもしれない。同じ問題に直面した際、巨大都市はどのような対応を取るのか。共通点と相違点はどこにあるのか。これらの問題意識を念頭に、本稿では首都北京を取り上げ、北京市市長と党書記の人事権・財政権限を考察した上、公共サービスの重要な一環である地下鉄建設事例から見える北京市と中央の関係を分析した。

第3章
トルコは1950年代から急速な国内人口移動と都市化を経験してきた。不法住宅(ゲジェコンドゥ)とともに都市問題を形成してきたのが公共交通インフラの不足であった。本稿では不法住宅問題の陰にかくれて社会科学研究の対象となってこなかった都市政治と交通問題の関係について考察するための素材を提供することを狙いとしている。そのために、最大都市であるイスタンブルを事例として、都市行政と交通インフラの概況について述べ、次いで昨年10月に開通したボスポラス海峡横断鉄道(マルマライ)と地下鉄の建設プロセスを検討する。マルマライと地下鉄はともに、イスタンブル市が掲げる軌道システムへの移行を実現するだけでなく、国家威信をかけた政治プロジェクトでもある。