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貿易指数データベースの作成と分析—東アジア地域を中心として— (中間報告)

調査研究報告書

2014年3月発行
序章
貿易指数データベースの作成と概要 pdf (386KB) / 桑森 啓・内田 陽子・玉村 千治
本研究会は、東アジアを中心とする国・地域について貿易指数を計測し、データベースとして整備するとともに、それらの貿易指数を用いてこの地域の相互依存構造を明らかにすることを目的としている。本章では、まず第1節において研究会の背景と目的について説明した後、第2節において本書の構成について述べる。最後に、第3節において本研究会で作成する貿易指数データベースの概要について説明する。

第I部 分析
第1章
デファクト・インテグレーション(事実上の統合)の進行により、域内貿易取引の緊密化が進んできた東アジアにも、転機が訪れている。その原因は、大きく分けて経済統合の制度化と所得向上による中進国化である。広域FTAの拡大にみられる経済統合はそれ自体が貿易を拡大するとともに貿易相手国を変化させる。ミドルクラスの台頭による国内市場の拡大は、輸出主導型成長から内外需両輪型成長へと成長メカニズムを変化させている。実際に東アジア主要国では、1990年代から高まり続けた貿易依存度が2005年前後から低下し始めた。小論では、東アジア諸国を対象に、貿易マトリクス・データと主要マクロ指標データを時系列で分析し、成長メカニズムと貿易構造の変化をみる。次に、中間層(ミドルクラス)出現が成長メカニズムにもたらす影響について検討する。

第2章
産業内貿易指数の計測 pdf (520KB) / 桑森 啓・内田 陽子・玉村 千治
本章では、代表的な産業内貿易指数であるグルーベル=ロイド指数の特徴について検討を行うとともに、実際の貿易統計を用いてアジア太平洋地域の国々について指数を計測し、日本とアジアの国々との分業構造を観察した。
検討の結果、産業内貿易は、水平型産業内貿易と垂直型産業内貿易の2つの類型に大別されるが、実際の計測に際しては、それらの貿易形態を識別することは容易ではないことが示された。また、実際の指数の計測結果からは、日本の産業内貿易の水準が他の国々と比較して低いこと、日本とアジアの国々との間では電気・電気機器などの機械類において工程間分業に基づく垂直型産業内貿易が行われている一方で、EUとは自動車など輸送機械において水平型産業内貿易を行われていることが示唆された。

第3章
国際分業度指数の作成のための定式化を行い、この指数の意義と問題点について議論する。また、今回のアジア太平洋地域の国際分業度指数の基礎となるアジア国際産業連関表について述べる。
次いで、実際に作成されたアジア太平洋地域の国際分業度指数を用いて、この地域の国際分業の実態とその変化について観測する。ここで、アジア太平洋地域の国際分業を観側する産業は、(1)製造業全体、(2)繊維製品、(3)化学製品、(4)金属製品、(5)機械、(6)輸送機械である。

第4章
本章では、顕示比較優位(Revealed Comparative Advantage: RCA)指数および顕示対称比較優位(Revealed Symmetric Comparative Advantage: RSCA)指数を用いて、東アジアを中心とする10カ国の比較優位構造を概観した。その結果、東アジア諸国が、機械・電気機器類に優位性を持ち、近年では光学機器類にも優位性がみられるようになってきたことが明らかとなった。また、東アジアの国々が紡織用繊維・製品の競争力を失いつつあり、東アジアに取って代わる新興国が台頭していることを意味している。

第5章
RCA指数の比較方法に関する一考察 pdf (598KB) / 玉村 千治・福井 幸男
顕示的比較優位(Revealed Comparative Advantage:RCA)指数は比較的データを入手しやすい貿易統計によって計算されるため、多くの国際貿易論の実証研究で用いられる。RCA指数は文字通り(輸出の)比較優位の分析に用いられるのであるが、形式的な比較方法が複数考えられるため、場合によっては比較優位の概念からは説明しにくい比較分析を行っている事例も散見される。この点に鑑みて、本章ではRCA指数の定義式から考えられる形式的な比較方法である4通りに関してその読み取り方を考察する。また、その過程において、RCA指数による分析は実際の貿易規模(輸出規模)も加味する方が一層詳細な結果を得ることも示唆される。
以上を仮設例および日本、韓国、米国の中国、EUおよびASEANを輸出市場としたRCA指数の実例を用いて示す。

第II部 データ
付表1
付表2
付表3
付表4
付表5