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中国・国家発展改革委員会の権力構造

調査研究報告書

佐々木 智弘 編
2013年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
佐々木智弘 編『変容する中国・国家発展改革委員会 ——機能と影響に関する実証分析—— 』研究双書No.617、2015年2月発行
です。
目次 pdf (207KB)
序章
本研究会のねらい pdf (242KB) / 佐々木 智弘
中国の経済政策を決定する上で、最も重要な役割を果たしていると見られる中央官庁「国家発展改革委員会」が、市場経済化が進展する中で、どのようなリソースを有して、どのように影響力を行使しているか、その権力構造を分析する。

第1章
本論文は中国の国家発展改革委員会の持つ機能や役割について、現代中国の行政改革論の枠組みの中でとらえ、分析するものである。1970年代末の改革・開放への転換以来、市場経済のシステムを導入した改革が既定路線となる中で、計画経済体制時代の国家計画委員会(国計委)の流れをくむ国家発展改革委員会(発改委)は、現時点でも財政金融政策の策定や各産業の管理監督、公共事業の認可など経済政策全体に強い権限を有している。市場経済化を進めつつも経済運営全般に強い影響力を有する政府部門が存在するという現状を、どのようにとらえればよいのか。発改委は現代中国の行政全体においてどのような位置にあるのか。

行政改革全体の枠組みとして、改革・開放以降の中国の行政改革は4つの段階を経て、「小政府、大社会」を志向してきたといえる。その中で国計委は発改委へ改組され、経済政策においてはマクロ・コントロール重視にその機能を転換させた。そして、その機能を象徴する1つの具体的事例となった2008年5月の四川大地震後の復興活動においては、国家発改委および各地方の発改委は復興活動の体制構築や物価調整などの個別の政策など、復興活動の様々な局面において主導的役割を果たした。発改委は「社会主義市場経済」の中で要の位置にあり、その機能の改革は今後の体制変容にも重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる。

第2章
新疆生産建設兵団と新疆ウイグル自治区における西部大開発を事例に取り上げて、これら少数民族地域の政府機関等が、2000年から2008年までの実施状況を、どのような内容として国家発展改革委員会に報告しているのかを明らかにするとともに、少数民族地域における政治的課題としての西部大開発の位置づけを、少数民族および民族政策の視点から振り返ったものである。これらの報告書を概観しただけでも、国家発展改革委員会が少数民族地域の振興に関わる事項がきわめて多岐にわたっていることが明らかとなった。

第3章
物流政策の制定・実施過程をケースとして国家発展改革委員会の役割や作用について分析した。物流業を選択した理由は、産業政策法規・実施体制がこれから整備される段階にあり、また、複雑な利害調整が行われるため発改委の具体的動きを検討する材料を得やすいと考えたことによる。2009年に物流業は「十大産業」の一つに認定され、第12次5ヵ年長期計画(2011~15年)でも、発展を図るべきサービス業に位置づけられるなど政策需要が高まっている。発改委は、物流に関連する諸官庁や業界団体で構成される「全国現代物流工作部際聯席会議」を主催し、重要政策文書の起草、取りまとめなどで主導的役割を果たしているほか、累次の行革で関係官庁が変遷するなか、政策の継続性を担保する立場にもある。今後を展望すると、政策文書制定のほか各種「標準」の制定、資格の制定・認定などやるべきことが山積しており、発改委の重要性はますます高まりそうだ。

第4章
企業は慢性的なコスト上昇により値上げをしたい。他方、当局は社会安定重視から物価を抑止したい。こうした2010~2012年の当局と企業の構図の中で、企業が値上げを発表した後、国家発展改革委員会(発改委)がこれら企業や業界団体を呼びつけ、値上げをしないよう説得というよりもむしろ命令し、企業はそれを受け入れ、値上げを延期するという企業の価格調整に対する発改委の介入実体を明らかにするために食用油、インスタント麺、日用化学製品などのケースを取り上げ、そのアクターを明らかに、介入プロセスを明らかにした。

第5章