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貿易指数の作成と応用:貿易構造の変化と国際比較

調査研究報告書

野田容助・黒子正人 編
2010年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
野田容助・黒子正人 編『国際貿易データと貿易指数:国際比較可能な貿易指数を目指して 』統計資料No.96、2012年3月発行
です。
序章
貿易指数の作成と応用に向けた諸課題 pdf (63KB) / 野田容助・黒子正人・吉野久生
はじめに
1. 貿易指数の作成と応用におけるこれまでの成果
2. 貿易データの利用と整合性の評価
3. 貿易指数の作成と評価
4. 貿易構造の変化と技術選択
おわりに

アジア経済研究所の経常研究の1つである「貿易指数の作成と応用(V)」研究会は貿易指数の作成および応用のための研究課題として、(1) 貿易データにおける長期時系列貿易統計データの整備、整合性および可能な限り整合性の補正、(2) 貿易指数の作成と評価、(3) 貿易構造の変化と技術選択、の3つの課題を基礎とする。本研究会では作成された貿易指数に対する国際比較および経済分析への適用は方法論も含めて検討課題である。本章は本調査研究報告書における総論であり、貿易指数の作成と応用におけるこれまでの経緯と成果を紹介し、3つの課題を節としてまとめている。

第1章
はじめに
1. 分類の対応関係に基づくグループ化の方法
2. 一般的な対応関係のグループ化
3. グループ化された対応関係の連結
4. 貿易データにおけるHS2007からio76への変換
おわりに

長期時系列の貿易データを共通の商品分類の概念で利用するためには商品分類の改訂された前後のどちらかの商品分類に統一することで可能となり、その統一のためには前後の商品分類に基づく対応関係コード表が必要とされる。対応関係コード表は2つの体系の異なる分類を結び付けるために利用される両者の対応関係を明らかにした分類コードの集まりである。本章は対応関係コード表のグループ化とそれらの連結に関する野田(2002)および野田(2007)に見られるいくつかの不明確な表現を明確化し、対応関係をグループ化したときに連結される対応関係コード表の作成方法について再考している。また、複数の異なる分類間を連結するときに得られる必要な分類間のグループ化された対応関係コード表の作成方法も検討している。

第2章
はじめに
1. HSの品目改訂とComtrade
2. 加工統計を利用する際の留意点
3. 産業内貿易指数による実例
おわりに

世界の大半の国々は統一システム(HS)の関税品目体系をもとに貿易統計を公表しているが、HSの品目分類が4-5年おきに改訂されるため、これらの統計は通時的な連続性を欠いている。国連統計局のComtradeデータベースでは各国の原統計に加えてそれを旧版のHS品目分類に組み替えた加工統計が提供されており、研究者は主として後者を利用している。しかしHSの品目改訂には新版から旧版への単純な変換を許さないものが少なくなく、国連統計局が利用している品目変換表はHS条約の附帯表に示された真の品目対照表とは異なっている。本稿では情報通信機器の産業内貿易を例として、Comtradeの加工統計を利用することが実証分析の信頼性に与える影響を検討する。

第3章
はじめに
1. 単価指数と物価指数
2. 両指数の比較に関するこれまでの研究
3. 年次データによる両指数の比較(1)アメリカとドイツのケース
4. 年次データによる両指数の比較(2)韓国と台湾のケース
おわりに
統計付録

貿易物価を測る指数として、通関統計の金額と数量から計算される単価にもとづく指数と事業所等へのアンケートから得られる調査価格にもとづく指数がある。これまでに行ってきた単価指数の作成とそれを利用した分析によって、主要国の単価指数の特徴や問題点を明らかにしてきた。本章では、欧米のアメリカとドイツ、アジアの韓国と台湾を対象にして、各国の調査物価指数とIDE 作成の単価指数との比較分析を行う。分析には、単価指数の対数を物価指数の対数とタイム・トレンドに回帰するモデルを用い、類別品目別にこのモデルの適合度やトレンド係数の分布を調べ、単価指数の変動の特徴を明らかにする。

第4章
はじめに
1. 中国貿易統計の特徴
2. 商品分類の桁数による単価変化率の相違
3. 商品分類の桁数による単価指数の相違
おわりに

中国貿易統計のHS8 桁データと、それをHS6 桁に集計したデータから単価変化率と単価指数を作成し、商品分類の桁数が単価指数に及ぼす影響を比較検討した。その結果、産業総合の単価変化率、単価指数には大きな影響はみられなかった一方で、産業別や相手国別にみた場合に影響がみられた。HS8 桁とHS6 桁集約データとで商品分類の数の比率と平均単価変化率の差の間には相関関係はなかった。

第5章
はじめに
1. 標準化貿易額指数(STVI)の算出
2. STVI の応用
おわりに

二国間の標準的貿易額を算出する際には、多くの場合gravity equation が使われてきた。しかし、理論的な裏付けを持ったgravity equation がどのようなものであるかについては論争があり、また、gravity equation 用いた推計を精緻に行うには各種の付加的な情報が求められる。本稿では、各国の国別輸出入額のみを用いたより簡便な標準化貿易額指数を提案し、それを用いた二国間貿易分析例
を提示する。

第6章
はじめに
1. 実質為替レートの要因分解とバラッサ=サミュエルソン効果
2. 韓国における実質為替レートの要因分解(1973-2007年)
3. 韓国における商品輸出,貿易財産業における産業別の輸出比率及び産業別の価格変化
おわりに

Isard and Symansky (1996)及びIto, Isard, and Symansky (1999) は,1973-1992年の韓国の対米ドル実質為替レートの要因分解を行い,韓国の米国に対する相対的な非貿易財の相対価格上昇が実質為替レート増価の重要な説明要因となったことを示した。本章は,両者に倣い1973-2007年の韓国の対米ドル実質為替レートの要因分解を行い,同様の結果を得た。1973-2007年の韓国の米国に対する相対的な非貿易財の相対価格上昇は,実質為替レート増価の重要な説明要因となった。韓国の米国に対する相対的な非貿易財の相対価格上昇の重要な要因は韓国における非貿易財の相対価格の急速な上昇であった。この背景には,韓国の商品輸出の大部分を占め,1975-2005年の5年ごとの輸出比率が約2割から3割であった製造業の非貿易財産業に対する相対的に緩やかな価格上昇があった。製造業の中の,とりわけ電気・電子機械器具製造業,精密機械器具製造業及び輸送用機械器具製造業における緩やかな価格上昇は,貿易財価格上昇を抑制した。

第7章
はじめに
1. 世界経済情勢と貿易構造の変化
2. 技術選択
3. RCAの逆転
おわりに

2008年のサブプライムローンの破綻をきっかけとして、金融市場は大混乱に陥り、いくつかの米国の大投資銀行が倒産した。影響は実体経済にも及んで、米国経済と世界経済は大不況に突入した。その一方で、原油価格は、ドルの信認低下という要因によって、不況にもかかわらず高止まり傾向を見せている。これは、資源産出国の取り分が増加していることを意味し、組み立て加工貿易にとって大きな打撃となった。Yeats(1985)はRCA指数の逆転について指摘を行っている。本稿では、技術選択は価格メカニズムによって行われるものではなく、各国の生産様式など、歴史的背景によって行われていると想定した。比較優位が軽工業にありながらも、高付加価値部門も持つ韓国と、一人当たりGDPは韓国よりも高いながら全般的に資本蓄積が小さいポルトガルをレオンチェフ指数を用いて比較した。

第8章
はじめに
1. 分析の枠組み
2. 分析結果
おわりに
付表

一国の経済の国際貿易開放度や国際競争力の度合いが、総合生産性(TFP)と関係あることを検証した。さらに貿易・経済同盟への加盟時期の違いが、これらに影響を与えているのかの有無も、生産性及び国際貿易データが整備されている欧州連合(EU)を事例として、またサービス業を分析の中心的対象として検討した。既存の加盟国においては、TFP成長率が国際貿易開放度指標や国際競争力指標と正の関係を持つ事例が存在することが分かった。さらに、新規加盟国においては、これらの関係は正の事例のみだけでなく、負の関係となっている事例も存在することが分かった。新規加盟国のほとんどは体制移行国であり、経済改革の一環で、またEUへの加盟準備の過程で、国際貿易の障壁を下げているが、必ずしもこれが国内産業の生産力向上と関連していないことが分かった。