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発展途上国における石油産業の政治経済学的分析 —資料集—

調査研究報告書

2008年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
坂口 安紀 編『途上国石油産業の政治経済分析』アジア経済研究所叢書6、2010年3月24日発行
です。
はじめに pdf (431KB)
<共通資料>
資料1 主要産油国の石油生産の推移
資料2 主要産油国の埋蔵量、国家経済・輸出・財政に占める石油の割合等
資料3 世界の主要原油輸出国
資料4 世界の主要石油消費国
資料5 石油価格の推移(1970~2006年)
資料6 2007年以降の石油価格の推移


第1部 国家原理vs市場原理
第1章
ロシアにおける石油産業発展の歴史は、帝政ロシア時代の19 世紀半ばに遡る。以来、中心的な産油地は、バクー地域、ヴォルガ・ウラル地域、西シベリアの順で東漸してきた。ソ連崩壊後、各石油会社は採掘・生産部門から精製・販売部門にわたり垂直に統合する形で再編された。1990年代の政治・経済混乱期には、石油生産が大幅に減産したが、21世紀に入り、油価高騰の煽りを受け、再び石油産業が息を吹き返している。石油産業はロシア経済の中核であり、その帰趨は政治体制の特質や安定度にも大きな影響を与えている。

第2章
ベネズエラの石油開発は1910年代に始まった。1940年代には外資石油メジャーに対する資源ナショナリズムが高まり、それは1976年の国有化につながっていった。一方でナショナリスト的石油政策は石油生産を大きく縮小させた。国有化後は生産を回復するために、資源ナショナリズムよりも経営合理性を重視した経営が行われ、その結果生産は20年をかけてようやく国有化前の水準に回復した。1999年に誕生したチャベス政権下では、再び資源ナショナリズムと石油産業への国家管理が強まっており、石油生産は再び大きく低下している。ベネズエラの石油産業の歴史は、資源ナショナリズムの高揚と生産低迷を繰り返している。

第3章
中国の石油産業が置かれている状況は他の途上国産油国と異なっている。国内の石油需要の急増に対し、資源的制約から成長の限界に直面している国内生産という条件の下、国際石油メジャーのように対外進出を活発化させていかざるを得ない。そうした状況の下で、中国石油企業は市場経済化プロセスの中で企業競争力を高めるとともに、政府のエネルギー安全保障政策と相互作用を及ぼしあいながら変革を遂げている。

第4章
インドネシアの石油産業にとって、アジア通貨危機とスハルト体制崩壊は大きな転換点となった。危機以降原油生産が減少し、一方で国内消費が拡大した結果、石油貿易は2003年以降輸入超過に転落した。スハルト体制下で独占権を保持してきた石油ガス公社プルタミナは、民主化にともなう制度改革を経て民間石油会社と同格の一事業者となり、グローバル競争に晒されることになった。

第2部 中央vs地方
第5章
イラクにおける石油産業は、世界有数の埋蔵量を持つにもかかわらず、政治面の制約により十分な発展を見せてこなかった。2003 年のイラク戦争後、石油産業の指針となる新イラク石油ガス法案の交渉が行われているが、独自の石油政策を推進するクルディスタン地域政府との間で対立が生じている。

第6章
植民地期にその起源を有するナイジェリアの石油産業は、とくに1970年代に大きな展開を見せ、国家経済の基幹部門として今日に至っている。国家主導で進められた野心的開発は、さまざまな外的制約の中で、増産と拡大を指向してきたものの、十分な成果を上げてはいない。それを象徴するのが国営石油会社であり、また石油産出地域における動きはその矛盾の噴出と見ることができる。

第7章
エクアドルの石油産業は1970年代の石油ブームを契機に基幹産業に成長し、小規模産油国ながら国内的比重は大きい。それ以降、石油政策は資源ナショナリズムによる国家管理と、民間活力重視の対外開放の間を揺れてきた。アマゾンの産油地域では、地域住民との社会環境問題も抱える。コレア現政権はOPEC 復帰を果たし、資源ナショナリズム志向から石油会社との契約関係を見直すなど、新しい政策を模索しつつある。