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ラテンアメリカの養鶏インテグレーション

調査研究報告書

2008年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
アジア経済』2010年10月 第51巻第10号、2010年10月発行
です。
はじめに pdf (289KB)
第1章
養鶏インテグレーションの基礎知識 pdf (466KB) / 星野妙子・清水達也・北野浩一
養鶏業においては鶏の生産・流通に関わる川上から川下までの部門を統合した大規模生産・流通システムの形成、すなわちインテグレーションが進んでいる。インテグレーションは養鶏業のみならず、農業部門、さらに経済活動一般に広く見られる現象である。なぜインテグレーションが形成されるのか、なぜことさら養鶏業においてインテグレーションが急速に進展したのか。これらの点を各国の事例について検討する際の手がかりとするため、第1に、インテグレーションの理論に関わる先行研究の議論を、企業、農業、養鶏の3段階に分けて整理し、第2に、世界の養鶏業に関する基礎知識として、生産・消費・貿易の統計を整理し、育種・飼料生産・資材生産・ブロイラー生産の主要プレーヤーについて概説した。

第2章
本章のねらいは、メキシコの養鶏業に関する先行研究と統計資料の整理を行い、メキシコの養鶏インテグレーションの基本的な特徴を把握し、今後の研究の焦点と分析視角を定めることにある。この作業を通じて、メキシコの養鶏インテグレーションの特徴として、インテグレーションの調整方法としては所有に基づく調整が支配的であること、インテグレーターは市場構造に対応した多様な仕様の商品を提供できるという優位を有すること、3大インテグレーターの中では民族系企業が米系2社を押さえて圧倒的優位にたつこと、などの点が明らかになった。今後の研究の焦点としては、インテグレーターの生産拡大過程、所有に基づく調整が選択された要因、民族系企業の競争優位の源泉などの究明が指摘できる。

第3章
本稿では、ペルーにおける養鶏産業の発展の歴史を先行研究に基づいて示すと共に、統計資料や現地調査の結果から今日の養鶏産業の現状を明らかにする。ペルーでは1960年代半ば以降、資本集約的な養鶏生産が進んできた。特に1990年代以降は飼料配合、種鶏生産、ブロイラー飼育、鶏肉解体処理、食肉加工のインテグレーションが進んでいる。企業を中心として養鶏産業の近代化が進む一方、ブロイラーの大半が生体で流通しているために、現在でも中小規模の生産者が数多く存在している。

第4章
本章のねらいは、チリの養鶏業に関する先行研究と統計資料の整理を行い、チリの養鶏インテグレーションの基本的な特徴を把握し、今後の研究の焦点と分析視角を定めることにある。

チリの鶏肉産業の特徴は、2点あげることができる。これは、完全所有型の垂直統合によって、上流から下流まで特定の企業によって担われていること、またごく少数の企業による寡占市場が形成されていることである。このような特徴は、チリの農業政策、市場規模、歴史的要因によって形成されたものである。

養鶏産業で寡占を形成する大企業は、新技術の導入や海外市場の開拓に関して積極的な展開を見せている。しかし、最大手企業は事業多角化、もう一社は専業化、そして第3位の企業はニッチ市場への注力という異なる成長戦略をとっている。