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中国経済の持続可能な成長 —資源・環境制約の克服はなるか—

調査研究報告書

堀井伸浩 編
2008年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
堀井伸浩 編『中国の持続可能な成長 資源・環境制約の克服は可能か?』アジ研選書No.20、2010年3月5日発行
です。
はじめに pdf (300KB)
第1章
中国の主要エネルギーである石炭でさえ、純輸入への転落が視野に入りつつある。2008年の年明け早々にも発電所における石炭不足が大々的に報じられるに至った。しかし本稿は、現状の石炭需給逼迫の背景には、小型炭鉱の管理強化の継続や資源管理体制の変更によって石炭企業が従来の盲目的な増産体制を改めたこと、石炭市場・価格制度改革によって石炭価格が引き上げられたことがあると指摘する。そしてこれらの改革は、石炭の長期的な供給制約を緩和し、石炭の持続可能な利用にとってプラスに寄与すると評価している。

第2章
石油企業の海外資源開発について
第3章
基礎産業にとって不可欠な銅・亜鉛・ニッケルといったベースメタルの金属価格は、2003年以来、高騰を続けている。さらに、ハイテク産業に不可欠であるレアメタルの中にも高騰しているものがある。

中国は飛躍的な経済発展を展開しており、銅・鉛・亜鉛・ニッケル・錫・アルミ・プラチナ・鉄は世界第1 位の消費国となっている。中国国内の自動車産業・電力産業・建設業を中心とした産業の発展により金属の消費量も大きく伸びている。従来は輸出ポジションにあった鉛・亜鉛も輸入ポジションとなっており、従来から輸入ポジションにあった銅・ニッケルの輸入量は大幅に増加している。また、中国に多く埋蔵される希土類等のレアメタルは、国内消費のために輸出抑制策がとられている。

一方、中国政府は、今後の経済発展を支える資源確保を重要課題と考えており、国内資源(西部地域の資源)の有効利用と海外資源確保に力を入れている。また資源節約型と循環配慮型社会の実現のため、中小製錬業の整理・縮小を展開しており、急成長を続けた金属消費も持続的な安定期に移行しつつある。

第4章
中国経済の進展に伴い、国内資源の多くは輸出ポジションから輸入ポジションに変化しており、走出去(海外進出、対外投資)戦略は拡大傾向にある。海外展開において、中国は中央政府の管理下にある中央企業と現業部門をもつ地方企業との連携による資源開発や企業買収を進めている。鉱物資源獲得のための対外進出の結果その影響として以下の2点が指摘される。

(1) 世界第1 位の消費量を誇る銅・亜鉛・ニッケル・アルミは年率15~60%と驚異的な伸びを示しており、世界的な需給や価格に大きな影響を及ぼしている。大幅な拡張計画がある製錬所の原料確保においては我が国と競合関係にある。

(2) 海外資源開発を巡って、中国アルミ業公司 (CHINALCO)に見られるように、企業買収による大型化とグローバル企業化の進展があり、世界鉱業界の中でも重要な地位を占めるようになった。

第5章
今後、利用可能な水資源・土地資源の大幅な伸びは期待できず、他方、経済成長を維持する上で、水需要、土地需要は引続き増大するため、特に中国北部において水資源不足、土地資源不足が激化すると思われる。

但し、現在推進されている水資源・土地資源の利用分野に市場メカニズムの機能を導入する改革によって、水資源・土地資源の地域間・産業間分配が調整され、各資源の効率使用が促進されれば、経済発展に対する制約は一定程度緩和される可能性がある。

第6章
中国の大気汚染問題の深刻さは既に我が国においても広く知られるところとなっているが、近年急速に対応が進みつつあることはあまり知られていない。従来は高級な環境対策として中国ではなかなか普及しないと思われていた排煙脱硫装置の導入が急速に進んでいるためである。その鍵となったのは、国内生産メーカーの急激な参入による競争を通じたコストダウンである。この排煙脱硫装置普及の事例は、中国の環境問題に対して、技術的対応の可能性を肯定するとともに、そのためには環境産業に企業を引き付ける制度設計が重要であることを示している。

第7章
水汚染問題の現状と課題 pdf (373KB) / 大塚健司
中国において水汚染問題は、いまや持続可能な社会経済発展に向けての大きな制約要因とみなされ、第11 次5カ年長期計画期間においても最重要の政策課題となっている。水汚染問題は、河川、湖沼、地下水など飲用水源を含む水質の慢性的な悪化に加えて、突発的で大規模な汚染事故を引き起こし、また各地で健康被害としてあらわれている。中国において水汚染対策は1990年代以降、重点課題とされてきたものの、水汚染状況の改善につながっていない。最近では、技術面のみならず、政治面においても水汚染対策が重視されており、今後の動向が注目される。

第8章
省エネルギーの可能性と効果
第9章
EUの化学物質規制(RoHSローズ指令)が2006年に施行され、電気・電子機器メーカーは、製品中の化学物質に対する管理責任を問われるようになった。中国からEUへの輸出動向を概観するかぎり際立った変化は起きていないが、対応のために課せられた企業の負担は重いものだった。中国の日系セットメーカー各社は、サプライヤーの協力を得ながらグリーン調達体制を構築する一方で、管理コストと違反リスクを小さくするためにサプライヤーそのものを集約化している。中国企業も輸出比率の高い大手セットメーカーは規制に対応しているものの、対応のコストなどを考えると、中小メーカーで対応の困難が予想される。

第10章
工業固形廃棄物の資源総合利用を事例に、循環経済に向けたさまざまな取り組みが、中国の持続可能な成長にどのようにつながるかを考察することを目的とし、既存統計データの分析、リサイクル現場の視察、文献調査等を通じて、現状およびその成果と課題について考察した。