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発展途上国の地方分権化と環境政策

調査研究報告書

2006年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
寺尾忠能・大塚健司 編『アジアにおける分権化と環境政策』研究双書No.566、2008年発行
です。
はしがき pdf (10KB)
第1章
本章では、1970年代半ばに導入された日本の硫黄酸化物に関する総量規制を取り上げ、革新的な環境政策の地方自治体による採用から国の法律による一般化のプロセスについて検討を行った。ある地方自治体が政策を採用する際には、他の自治体も採用しているという事実が不確実性を低下させるという意味でプラスの影響を与え、更に地方自治体における経験の蓄積が国の政策に対しても影響を与えるという事実を確認した。

第2章
工場排水対策としての下水道の意義と,その開発途上国での実現可能性を検討するため, 日本の事例研究を行った。大阪市では, 全国に先駆けて1973年から水質料金制度を導入したことが, 企業の節水と水の再利用を促した。北九州市では排水規制が実施される前から, 洞海湾で水質が改善されたが, これは水資源の不足による節水と水の再利用が進んだためである。

第3章
インドネシアでは、1998年のスハルト政権崩壊後、地方分権化が進んできている。環境分野の権限も県・市レベルに移管されてきている。十分な環境行政を担う能力が形成されていないにもかかわらず権限が委譲されたため、さまざまな混乱を招き、環境問題が深刻化している。長期的に見れば、地方分権化は国全体の環境管理に関する能力形成につながると考えられるが、一気に権限を以上するのではなく、段階的に権限を委譲していく道筋もあったのではないか。

第4章
中国の地方レベルでの環境政策の実効性を阻む要因を分析するための準備作業として、まず、その制度的背景となる環境行政システムと中央による地方に対する監督検査活動の過程を概観した。さらに、先行研究等をもとに、中国における地方環境政策の実施過程の分析に向けて、いくつかの論点について若干の検討を行った。

第5章
台湾では民主化の過程で地方分権化も進み、その過程で地方政府の裁量権が拡大し、環境政策も多様化している。台湾の中では経済開発が相対的に遅れている雲林縣を事例として取り上げ、地方分権化により環境政策が軽視されるようになった過程を説明し、地方政治と地方環境政策の関連を論じる。