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南アジアにおけるグローバリゼーション:雇用・労働問題に対する影響

調査研究報告書

佐藤宏 編
2006年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
Edited by Hiroshi Sato and Mayumi Murayama Globalization, Employment and Mobility -The South Asian Experience -  Palgrave Macmillan IDE-JETRO Series, August 2008
です。
まえがき pdf (111KB)
はじめに pdf (223KB) / 佐藤宏
第1章
2000年代の、とくにこの数年間に発表されたインドの雇用と労働に関する文献を多面的に紹介することにより、その変化、現況を整理した。それを踏まえて最後にグジャラート州アフマダーバードの事例を取り上げ、若干の考察を加えている。

第2章
労働移動と厚生:デリーのスラムの事例 pdf (327KB) / アループ・ミトラ、辻田祐子
本稿は2004/05年にデリーのスラムで実施した家計調査をもとに、大都市への労働移動は労働者家計の厚生につながっているかどうかを検証した。長期的に見ればスラムにおける居住年数が長いと家計の生活水準は向上する。都市の貧困は農村の貧困の延長線上にある問題ではない。雇用プログラムなどの都市貧困層を対象とした貧困削減プログラムが必要である。

第3章
MFA失効のパキスタン衣料産業への影響と、その国際競争力を労働コストの点から検討し、それを現地での聞き取り調査によって裏付けることを試みた。パキスタンの衣料産業は競争相手に比べて高い労働コストに直面しており、その背後にある一要因として、縫製工が男性の出来高払い労働者であることが考えられる。

第4章
第73次憲法改正による地方分権化は,インド農村における貧困層・女性・マイノリティ集団などをはじめとする社会的弱者層の生活水準を改善するものなのだろうか.この問題を検証するために,全国標本調査個票データと選挙管理委員会の選挙データを利用して,地方分権化がインド農村における貧困緩和計画の配分に与える影響を分析した.その結果,(1) 貧困緩和計画の受益者選定にあたって,ジェンダーバイアスと土地持ちへの偏りが存在している,(2) 地方エリートによる収奪(local capture)が存在する可能性があり,地方分権化が必ずしも社会的弱者層に好ましい影響を与えるわけではない,ことなどが明らかになった.

第5章
インドでは、憲法にも保障された「留保(reservation)」制度のもとで、公共部門においては、社会的に疎外されたカースト、部族集団に対する雇用割当制度が存在する。市場経済化政策のもとで、公共部門雇用が削減されつつあるなか、雇用割当を民間企業部門にまで拡張する要求をめぐり、政府も巻き込んだ活発な論争が展開されている。この論争の背景と意義を整理し、市場経済化とグローバル化のもとでの、インドの雇用政策を展望する。