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長期時系列における貿易データと貿易指数の作成と応用

調査研究報告書

野田容助 ・ 黒子正人 編
2006年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
野田容助・黒子正人 編『貿易関連指数と貿易構造 (Trade-Related Indices and Trade Structure)』統計資料No.91、2007年3月発行
です。
序章
貿易指数の作成と応用に向けた諸課題 pdf (274KB) / 野田容助・黒子正人
はじめに
1.貿易指数の作成と応用におけるこれまでの成果
2.貿易データの整備、整合性および補正
3.貿易価格指数の作成と評価
4.貿易価格指数および関連指数の国際比較と分析
おわりに

アジア経済研究所のプロジェクト研究の1 つである「貿易指数の作成と応用(Ⅲ)」研究会は世界貿易統計データに関する整備と貿易統計の利用という立場から、貿易指数の作成とそれにもとづく国際比較分析を目的としており、本調査研究報告書は1 年目の中間的な成果の一部を取りまとめたものである。本章は本書における総論であり、貿易指数の作成と応用におけるこれまでの経緯と成果を紹介した後、本研究会の3 つの柱をそれぞれ部としてまとめ、第1 部の貿易データの整備、商品分類統一のための変換も含む整合性および可能な限りの整合性の補正、第2 部の貿易価格指数の作成とその特性評価および国際比較、第3 部の貿易価格指数および関連指数を利用した国際競争力、国際比較と分析について概観している。

第1部
第1章
はじめに
1.配分ウエイト行列の推計方法
2.推定方式の違いによる配分ウエイト行列の特徴
3.商品分類SITC-R1系列の作成方法
4.作成されたSITC-R1系列の評価
おわりに

同一商品分類による長期時系列データ作成のために必要とされる配分ウエイト行列の推計方法とその特徴を紹介するとともにUN Comtrade Database 貿易データから得られた報告国の日本の貿易データを利用してSITC-R2 で編集されている1976 年から1987 年までの貿易額を同期間のSITC-R1 への変換を試み、推計方法の違いによる貿易額の比較および検討する。本章で紹介している配分ウエイト行列の推計方法は従来の推計方式である取引額と配分構造を考慮しているが配分構造に独立性を仮定した同一配分パターンのp 方式、回帰式によるウエイトの制約条件付き最小2 乗法のwv 方式に加えてこれらで得られた配分ウエイト行列を初期値としてエントロピー最適化法を適用した最終調整の試みである。


第2章
はじめに
1.配分ウエイト行列の要素に0がない制約条件
2.配分ウエイト行列の要素の1個が0である制約条件
3.配分ウエイト行列の要素の2個が0である制約条件
4.配分ウエイト行列の要素の一般的なゼロ制約条件
5.ゼロ制約条件付き最小2乗法の推計プログラム
おわりに

商品別貿易データの同一商品分類における長期時系列データ作成のためには商品分類の改訂に伴って生じた商品分類の対応関係にもとづく変換が必要である。この商品分類統一のための変換に必要な配分ウエイト行列の推計方法の中で、行列のまま直接配分ウエイトの推計をおこなう一般的な配分ウエイトのゼロ制約による制約条件付き最小2 乗法の概要を紹介する。この方法にもとづいて作成されたSPlus あるいはR によるプログラムが著者作成になるdstb_wm6.sp である。推計するW のパラメターをできるだけ少なくするには0 および1 となる既知であるj 列を取り除くことで可能となる。この方法にもとづくプログラムは同じくdstb_wm8.sp として作成されている。


第3章
はじめに
1.線形回帰式によるウエイト制約条件付き最小2 乗法
2.既知の解を取り除いた配分ウエイトベクトルの推計
3.配分ウエイトベクトルによる推計のプログラム
おわりに

商品分類の改訂に伴う商品分類の変換のための配分ウエイトの推計を線形回帰式により求めている。この方法は野田の「回帰式によるウエイト制約条件付き最小2乗法」の改訂版であり、対応関係の配分構造からω ij が1であることが知られているときにはこれらのウエイトをパラメターから取り除いてできるだけ推計するパラメターの数を少なくする等の工夫、ウエイトの制約条件としてウエイトの和が1 となることのみに限定しているのでウエイトの0 ≤ ω ij ≤ 1 となる条件も考慮した推計方法である。この推定値の負の調整を含めた配分ウエイトの推計プログラムがdstb_wv8.sp である。


第2部
第4章
はじめに
1.作成方法の改訂点
2.処理手順の改訂
3.作成された指数についての考察
おわりに

昨年度に引き続き国連貿易統計を利用して貿易指数を作成した。利用するデータの範囲を拡大するなどの作成手順の改訂点について詳述し、結果の一端を報告する。


第5章
はじめに
1.COMTRADEベースの輸出単価指数の推計
2.固定基準方式による輸出単価指数の検討
3.連鎖基準方式による輸出単価指数の検討
おわりに

本章は、昨年度に続き、アジア経済研究所で推計された輸出単価指数の時系列的特性を検討することを意図している。今回は、貿易分類をSITC1に変化する方式として、IDE 方式(野田系列)の代わりに、国連のCOMTRADE方式を用いている。COMTRADE 方式は野田系列に比べ、各国の単価指数の推計が、1980 年以降についてはほとんどの部門で可能であるという利点がある。固定型指数の系列について、日米両国で公表されている部門別指数と比べると、とくに米国に機械系部門では単価指数との相関関係が弱く、デフレータとしての安定性に欠けるという問題が明らかになった。固定型指数と連鎖型指数を比較すると、連鎖型指数の方が不規則的な変動が少なく、スムースに変動していることが確認できた。

第3部
第6章
はじめに
1.貿易構造変化
2.競争力の推移
3.産業内水平分業の展開
付表:23商品分類表(基礎となる分類はSITC-R1)

東アジア(日本、NIES、中国、ASEAN4)、インド、アメリカ、EU を対象として長期の貿易構造変化を分析し、長期貿易統計の有用性を明らかにした。また付表に示されているように商品を23 の範疇に区分して分析した。これまで当研究会で産業連関分析に基づいた商品分類、長期の統計が不整備であったことからSITC-R1(以下、SITC と表わす)一桁での分析を行った。しかし貿易構造変化、競争力、分業といった分析から、相互関連が明確には説明できなかった。商品を素材、中間財、最終財からなる23 分類に区分して、貿易構造、競争力、分業を相互に関連付けて分析した。またこの分類により素材から最終財、一次産品から機械に比重を移す世界貿易構造の進化過程を明らかにすることがで、その結果は以下である。世界貿易に占める対処国の比重増大、中でも東アジアのシェア拡大、対象国における機械産業貿易の拡大、機械産業の特徴から相互貿易の拡大、対象国間の相互取引が世界貿易に大きな比重を占める、という流れが明らかになった。


第7章
はじめに
1.国際電子産業サイクルとアジア諸国の生産・貿易構造
2.中国とEA8 の輸出競合関係
3.円ドルレートの変動とアジア諸国の景気循環
おわりに
付録:データの出所と変数の作成方法

東・東南アジア諸国の経済の動学的依存関係やマクロ経済政策の相互波及効果に関しては多くの研究があるものの、これらのほとんどは実質GDP や実効為替レート、貿易収支といったマクロ経済変数に注目したものである。しかしアジアには生産や輸出に占める電子関連製品の比率が高い国が多く、これらの国々においては国際電子製品市場の動向が単なる産業ショック以上の意味を持っている。本章では、(1)中国と他のアジア諸国の輸出の動学的競合・補完関係、(2)円ドルレートの変動が域内諸国の輸出や生産に与える影響をめぐる既存研究を採り上げ、国際電子産業の中期的変動の影響の取り扱い如何によって実証分析の結果が大きく左右されることを示す。


第8章
はじめに
1.レオンチェフ指標とリーマー指標の計測
2.台湾における貿易構造の変化
3.ポーランドにおける貿易構造の変化
4.ハンガリーにおける貿易構造の変化
おわりに
付論:国際産業連関表の構成と国内表の作成

技術革新の著しい東アジアにおいて、比較優位構造を反映した貿易構造が見られるか否か、台湾を取り上げ、レオンチェフ指標を計測して検証する。また、改革開始以降、大きな貿易構造の変化を経験している東欧について、ポーランドとハンガリーを取り上げ、その変化について分析を行う。


第9章
Introduction
1. The Changing Patterns of China’s Foreign Trade
2. Estimation of China’s Import Demand Functions
Conclusion

中国の輸入を要素集約度(Natural Resource Intensive, Unskilled Labor Intensive, Technology Intensive, Human Capital tensive)で分類し、それぞれの分類ごとに輸入関数の推計を行った。まずは、中国の輸入とGDP,及び相対価格との間に長期的な関係が存在するかどうかを分析するために、Panel Dependence Test を行った上で単位根検定を行ったが、輸入及び相対価格については単位根であるという帰無仮説は棄却された。その後、パネル回帰を行ったがさらなる詳細な分析は来年度に行うこととする。