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空間経済学から見たアジア地域統合

調査研究報告書

藤田昌久 編
2006年3月発行
この報告書は中間報告書です。最終成果は
Edited by Masahisa Fujita , Satoru Kumagai , Koji Nishikimi Economic Integration in East Asia —Perspectives from Spatial and Neoclassical Economics— Edward Elgar, October 2008
です。
第1章
通貨危機を経て統合に向かうアジア経済 / 大辻義弘
第2章
本論では東アジア域内貿易の変化を跡づけるとともに、将来の見通しを述べる。東アジア域内貿易のパターンは過去20年間で一次産品中心から製造業品中心へと大きく変化したことを示し、電子・電機製品が製造業品貿易の太宗を占めていることを示した。続いて、本論ではGravity Model を用いて東アジア域内貿易の分析を行った。その結果、最終消費財の方が、中間投入財と比較して、一般的に貿易の距離弾力性が高いことが明らかになった。また、一般的に、一次産品関連の国内貿易ダミー係数が大きく、工業製品の国内貿易ダミー係数は小さいことが分かった。以上のような分析を踏まえると、今後、東アジア域内の貿易自由化が進んだ場合、貿易量が増加する可能
性があるのは、農産物一般や木製品、自動車などであることが分かった。

第3章
生産の「フラグメンテーション」が進むなか、中国はアジアの国際分業において、その優位性とプレゼンスを高めている。中国への直接投資、特に沿岸部への直接投資は急増し、華南(珠江デルタ)や華東(長江デルタ)には大規模な産業集積が出現している。本論では両地域の発展を跡づけることで産業集積のメカニズムを明らかにする。

第4章
本稿では、まず、理論モデルにより(1)最終財企業の生産量が多いほど、また、(2)海外進出前より海外進出後の1単位当りの生産費用が安いほど、多くの中間財企業が多国籍化することを示した。その後、アジア各国と中国内の各地域における日系現地法人や技術供与先による自動車生産台数と日本企業が出資した現地の自動車部品事業所数を明らかにし、タイへの集積が確認された。最後に、貨物の日本からの輸送頻度について言及する。

第5章
FTAに代表される制度的な地域統合の動向は、ASEAN の産業に大きな影響を与える。中国-ASEAN FTAでは、自動車等を高度センシティブ品目とし、関税削減を先延ばしすることで競争の激化を避けている。本章では空間経済学のモデルを用い、高関税による産業保護政策の有効性、市場規模、および製品の特性の関係を見る。