新興経済回廊の開発・整備

アジ研ポリシー・ブリーフ

No.14

2012年9月20日
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はじめに
大メコン圏(GMS)経済協力は、これまで東西、南北、南部の3つの経済回廊を中心に整備が進められてきた。これら3つの回廊整備も順調に進み、2012年と2015年に予定される南北並びに南部経済回廊のメコン川架橋を機に、新たな段階を迎えようとしている。こうしたなか、「経済回廊」にはまだ指定されていない主要幹線道路のなかで、既に開発が進みつつある道路並びに開発が検討されている道路、さらにはまだ検討されていないが地域開発拠点を結ぶことで輸送時間の短縮や、短縮に伴う企業進出など大きな経済効果が期待される道路がある。ここではこうした「新興経済回廊」に焦点を当てたい。



図1 第3メコン友好橋と国道8号線と12号線
図1 第3メコン友好橋と国道8号線と12号線
(出所)筆者作成。

1. 急ぐべからず、ブンアン港の拡張・整備
2011年で注目すべき開発は、タイのナコンパノムとラオスのタケークの第3メコン友好橋の開通であろう。タケークからは国道12号線と、タケークの北のビエンカムからは国道8号線が、それぞれラオスとベトナムの国境を越え、ベトナム国道1号線に至る(図1)。そして、8号線と12号線の延長上にそれぞれクアロー港とブンアン港が存在する。このうち、ブンアン港は深海港としての開発が期待されており、ラオス政府も2010年にブンアン港株式会社に資本参加している。実際、ベトナム側でも従来迂回しなければならなかった12A号を通らずにチャーロー国境からキーアンまでの近道が開発され、ブンアン港の拡張・整備は日メコン協力の案件にもリストアップされている。しかし、ラオスの首都ビエンチャンからの距離は620キロも離れており、660キロ離れたバンコクとの差別化は難しく、現状でほとんど港湾に積荷がなかったことを考えると、拡張・整備を急ぐ段階にはない。

図2 ダナン、パクセ、ウボンラッチャタニの連結性改善の可能性
図2 ダナン、パクセ、ウボンラッチャタニの連結性改善の可能性
(出所)筆者作成。

図3 ミャンマーの開発拠点の
回廊化

図3 ミャンマーの開発拠点の回廊化
(出所)筆者作成。
2. 期待される「第3東西経済回廊」整備
ダナン、パクセ、ウボンラッチャタニはそれぞれ、ベトナム、ラオス、東北タイの第3ないし第4の都市である。これら準大都市を結ぶ道路が、タイの国道217号、ラオスの16号ないし18号、ベトナムの14号線である(図2)。現状ではラオスの国道18号線を迂回するルートが利用されているが、ラオスの国道16B号線を改修することで、その距離は686キロから150キロ程度短くなる。このルートにウボンラッチャタニとバンコク間の区間を加えれば、バンコクとダナンを結ぶ通称「第3東西経済回廊」になり、バンコクとダナンを結ぶ輸送経路の短縮が期待される。この意味からもセコンからベトナム国境までの改修が求められる。

3. 開発拠点を結ぶ幹線道路の整備が課題
ミャンマーのダウェーでは、バンコクからマラッカ海峡を経ずにインド・欧州方面への輸出の大幅な距離と時間の短縮が可能な深海港が開発されようとしている。チャオピューでは中国向け天然ガスと原油パイプライン基地の建設が進められている。シットウェーでは、ベンガル湾からインド東北部への短縮ルートのための拠点港が開発されている(図3)。しかし、これら拠点とヤンゴンやマンダレーなど大都市との道路は整備が遅れており、これらの道路開発が急務である。

(いしだ まさみ/ JETRO バンコク事務所)


本報告の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式見解を示すものではありません。