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メコン農業・食品加工産業 可能性調査ワークショップ

アジ研ポリシー・ブリーフ

No.10

ジェトロ・アジア大洋州課海外調査部
2012年8月31日
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  1. ミャンマーへの提言
    1. 農業基盤・関連裾野分野の整備
      1. 灌漑設備の整備  
        耕作地の拡大だけではなく、既存の耕作地の改善(灌漑普及や区画整理による単位農地の拡大)による増収を図るべきであろう。
      2. 農業技術の普及 
        積極的にNGOの草の根的な活動を拡大し、国際機関やJICA など公的援助機関との連携を目指すべき。また政府の農家に対する営農指導を一層拡大すべきである。
      3. 農村部におけるエネルギー源の確保 
        農村部での必要最小限の電力を確保すべく、太陽光、風力、マイクロ水力発電など村落単位のエネルギー源の開発と普及を促進する必要がある。
      4. 農業資材、機械の普及  
        農業資材の国内調達を実現すべく、この分野での外資導入をはかるべき。農業労働力の不足している地域では、機械化の促進が不可欠であり、農業機械の普及のための施策を早急に講じる必要がある。
    2. 農産物流通の近代化
      1. 卸売市場の近代化
        農産物の流通では依然として伝統的なWet Market の役割が極めて大きいが、“食の安全”を早急に啓蒙する必要がある。
      2. コールドチェーンの普及 
        生鮮・野菜、果実の流通にはコールドチェーンの普及は不可欠であり、この啓蒙を早急に図り、共同倉庫・配送センターを設置する必要がある。
      3. 地理的優位性による農業・食品加工産業の育成
        中国、インド、ASEANに囲まれたミャンマーは地理的に農産物の輸出にとって有利な位置にある。ミャンマーは「アジアの食糧基地としての可能性」を
        世界に積極的に発信しながら中長期的な戦略の下に外資導入を図るべきである。
    3. 総合的な各種農業振興策の必要性
      1. GAP に関する啓蒙活動
        農業灌漑省を中心に2010年末以降ようやくGAPの認証制度の枠組み作りを開始した。これに対して日本のNGOまたは海外展開に積極的な農業生産法人の支援が期待される。
      2. 種苗産業の育成
        種苗の国内調達を実現することで農業の生産コスト削減を目指すべきであろう。
      3. 伝統輸出農産物以外の戦略的輸出農産物の構築
        米、豆類、ゴマなど伝統的な農産物以外に、高付加価農産物の輸出品目を育成する必要がある。
      4. 外国投資誘致策の構築
        農業、食品加工分野の外資進出はこれまで極めて少ない。具体的な奨励策を早急に策定、農業案件誘致のための相談窓口機能を強化すべきであろう。
      5. 農業人材の育成 
        既存の農業大学のレベルの質的向上を図ると同時に、実践的な即戦力のある人材育成のための農業技術訓練校を全国レベルで展開すべき。また、日本へミャンマー人の研修生の派遣を拡大し、日本の営農技術を実戦的に指導する。

  • ラオスへの提言
    1. 農業政策の抜本的改革
      政府が現在推進している農業振興の基本政策、“2+3政策”は、農民が土地(1)と労働力(2)を提供し、企業などが、資金、技術、マーケット(3)を調達して国としての農業を高度化していこうとするもの。これに対して最近では“1+4政策”を推進しようという動きもある。この場合農民は土地の提供(1)だけで、企業は、労働力、資金、技術、マーケット(4)を調達する。遅れた地域は1+4政策、進んだ地域は2+3 政策が推奨されているようだが、政府の基本政策をさらに改革する必要があろう。
    2. 高生産コスト体質の改善
      農業関連資材を国内生産する制度を早急に確立することが望まれる。
    3. 食品加工企業と農民や村との契約栽培
      ラオスの農業を振興させるには当面、外資などの食品加工業ないしはアグリビジネスが農家との契約栽培を広く展開することが最も効果的と思われる。
    4. 原料農産物の一次加工ないし保管工場の整備
      穀物の乾燥など付加価値を付与し出荷調整ができる一次加工施設をラオス側に設置すれば生産者の輸出価格の安定につながる。
    5. 種子産業の育成
      海外企業の投資による種子が国内農家に供給されれば、輸入種子に依存するラオスの農家にとってはコスト低減に繋がる。
    6. 畜産(肥育牛・酪農)の振興
      畜産部門への支援は、人口が少なく国内需要が限定され、タイからの乳製品輸入が多い現状では、畜産業をどのように発展させるかというラオス政府の基
      本的な政策がまず構築されるべきである。
    7. 観光農業を通じての農業開発
      牧場で出される堆肥を活用した野菜、果実の生産、観光客向けのブランド農産物の販売、加工食品の開発という、観光と循環農業の複合プロジェクトも有効な開発手法と言える。
  • カンボジアへの提言
    1. カンボジアに対する協力支援のあり方
      1. 一層の公的支援の拡大の必要性
        農業分野への支援プログラムを一層拡大する必要がある((1)営農改善・灌漑整備・圃場・水管理、(2)食品加工・流通、(3)食品安全、(4)輸出マーケティングなど)。
      2. 農民の組織化と農家への融資
        農民が保守的で近代農法に不安を感じ、新技術や新品種の導入が進まないといった問題もあるが、早急に農業協同組合のような農民組織を創設することが望ましい。農民さらには中小・零細企業者向けの金融システムの確立も重要な課題。
    2. 戦略的加工食品の育成
      カンボジア政府は米の増産と輸出促進を当面の農業政策の優先課題としている。しかし同時に米以外の戦略的な農産物に着目すべきである。
    3. 食品産業振興のため克服すべき課題
      1. 原材料調達をめぐる課題
        1. 関連資材の国内調達
          カンボジアの食品加工産業の発展にとって最大の課題は、食品の安全管理体制の確立と包装容器、包装材料などの資材産業の育成である。
        2. 加工用原材料の安定供給
          加工食品産業の発展には均質で安定的な原材料の供給体制の確率が不可欠。
        3. 契約農業の推進
          原料果実の安定調達を図るには農家や果樹園との間で数量契約を結ぶなどの契約取引の締結が必要である。
      2. 物流ネットワークの整備
        カンボジア農産物の輸出促進のためには、南部回廊、南部沿岸回廊の整備が不可欠であるが、回廊に到るまでの道路整備や農道整備が急務である。また産地の拠点ごとに保管施設を設置することも必要。
      3. コールドチェーンの整備
        生鮮農産物に限らず加工食品の物流に欠かせないコールドチェーンを導入する必要がある。またプノンペン港、シアヌークビル港など農産物の輸出拠点および保管倉庫を整備する必要がある。
  • 本報告の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式見解を示すものではありません。