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第20回デリー・ブックフェア

海外研究員レポート

インド

坂井 華奈子
2014年10月発行
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第20回 デリー・ブックフェア(1)
今年で20回目を迎えたデリー・ブックフェアはインド貿易振興局 (ITPO)が主催、インド出版者連盟の共催で2014年8月23日から31日の9日間、ニューデリーのPragati Maidanで開催された。会場で購入したFair Guide1によれば、出版社、雑誌社、新聞社、書店等216を超える機関の参加があり、国内向けのブックフェアではあるが、海外からも中国、英国、米国からの出展があったとのことである。

赴任先のライブラリアンにこのブックフェアの評判について聞いてみたところ、例年2月頃に同じ会場で行われる国際ブックフェアに比較すると小規模で、インド国内向けであり、学術書などは国際ブックフェアの方が充実していると言われたが、筆者の関心事項である政府刊行物やセンサス関係のブースも出ているとのことだったため、8月25日(月)に足を運んでみた。

会場のPragati Maidanは、様々な展示会などが開催される展示場であり、11もゲートがあるかなり広い敷地であるため、各ゲートとホールの間にシャトルバスが運行されていた。ブックフェアは会場内のHall8-12Aという6つのホールを使って開催されていた。同時開催の第16回文房具&OA機器フェアのブースも同じホール内に隣接していたが、ブックフェアのエリアの方が賑わいを見せており、事前に小規模であると聞いていたが、思ったよりも多くの来場者があり、混雑していた。筆者の訪問日が平日であったせいか、大学生くらいの若者や、小さい子どもを連れている親子連れなどが目立っていた。

第20回 デリー・ブックフェア(2)
インドは24もの言語で出版が行われている世界でも珍しい国であるが、米国と英国に次いで英語書籍の出版点数が多く、英語での出版がさかんであることでも有名である。しかし、国内向けのブックフェアであるためか、ヒンディー語をはじめとした現地語の本を扱うコーナーも多く、特に一般書や子ども向けの絵本や教材などはヒンディー語の本がたくさん展示・販売されていた。また、一部の出版社ではeBookやビデオ、マルチメディア教材なども取り扱われていた。

全体的に、英語で書かれた学生向けのテキスト類、ハリーポッターやトワイライトシリーズのような英語のベストセラー本や、子ども向けの絵本、教材、コミック類、主婦向けの料理本など、一般向けの内容が多い印象を受けたが、ビジネス書、語学、医学書、宗教、哲学の専門書などを扱うブースもあり、学術書関係では大学出版会や研究機関からも出展されていた。英語のワールドベストセラーや学生向けの書籍のペーパーバックなどは、割引価格で100ルピー(約170円)など、元々日本よりも書籍の単価が安いインドにおいてもかなり手ごろな価格で販売されていた。中にはかなり読み込まれたような形跡のある中古と思しき本もあったが、新品でも割引がされており、通常よりも安く購入することができる点は魅力的であった。

期間中には出版記念イベントや討論会、子ども向けのワークショップなど様々なイベントが開催されており、日程の都合で参加することはできなかったがプログラムによると「Workshop relating to Library Science by Ranganathan Research Centre」と題したライブラリアン向けのワークショップも開催されていた。会場内では「Literature in Cinema」と題した映画とインド文学に関する特別展示が行われており、映画に関するパネルやその原作本、関連書籍等が展示されていた。

第20回 デリー・ブックフェア(3)

会場で販売しているフェアガイドでは、アルファベット順で出展者名とブースの場所を一覧することができるが、そのほかに無料で出展者の検索やイベントカレンダー、会場のファシリティや地図などの機能が利用できるモバイル向けのアプリが提供されていた。ただし、冊子体のガイドもアプリでも、テーマや分野などで検索することはできず、出版社や書店の名前で専門分野がわからない場合には、自分のほしい種類の本がどこで展示・販売されているのかを歩き回って探すのはなかなか困難である。

第20回 デリー・ブックフェア(4)
筆者の関心事項である政府刊行物については、センサスを発行しているOffice of the Registrar General、Publication Division, Ministry of Information & Broadcastingなどが出展していた。センサスのブースでは、冊子体を展示するとともに、センサスの結果から人口やテーマで色分けした地図などを壁に掲示しており目をひいた。最近新しく誕生したテランガナ州の境界線を明示した地図があり、感心して眺めていたところ、まだ出版物には収録されていないが余部がある、とのことで無料でもらうことができた。後者のブースでは、ガンディー関係の資料や児童文学、インドのアート、歴史、政治家のスピーチ集や伝記などのような広報的な内容の資料を扱っており、英語とヒンディー語が半々くらいの割合で展示されていた。中には歴代の予算関係のスピーチをまとめた資料などもあったが、統計資料や報告書のような政府刊行物についてはMinistry of Urban DevelopmentのDepartment of Publicationが管轄しており、ブックフェアには出展されていなかった。

また、Department of Science Technologyの一般向けで広報的な出版物を扱っているVigyan Prasadや、Department of Higher Education, Ministry of Human ResourceのNational Book Trust も出展していた。National Book Trustでは、数点の英語書籍を購入したが、その場で会員になると割引サービスが受けられるとのことであった。

今回は、国内向けのブックフェアであったが、会場内には2015年2月14日から22日に開催されるニューデリー国際ブックフェアの予告が掲示されており「アフロ・アジア地域最大の国際ブックフェア」と銘打たれていた。ぜひ、こちらにも参加してみたい。

第20回デリー・ブックフェア
開催期間:2014年8月23日—31日
時刻:AM11:00-PM8:00(入場はPM7:30まで)
会場:Pragati Maidan Hall 8-12A
入場料:大人Rs.20/子どもRs.10
ウェブサイト:http://www.delhibookfair.in/



第20回 デリー・ブックフェア(5)

脚 注


  1. India Trade Promotion Organisation, “20th Delhi Book Fair 2014 August 23-31 Fair Guide” Rs.70

本稿の内容及び意見は執筆者個人に属し、日本貿易振興機構あるいはアジア経済研究所の公式意見を示すものではありません。