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インドにおける貧困線をめぐる昨今の騒動について

海外研究員レポート

インド

2011年11月発行
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去る9月20日にインド計画委員会(the Planning Commission of India)がインド最高裁判所に提出した資料(affidavit:宣誓供述書)に示された貧困線の値があまりに低すぎると物議を醸し1 、NGOなどが計画委員会副委員長モンテク・アルワリアの辞任を迫るなど、問題がひととき先鋭化しました2

イメージをつかむために、一つの例をあげてみます。インドのガスシリンダーは日本のプロパンガスをイメージしてその三分の一くらいの高さ、鋼鉄製で赤く塗装されており、ガス満タンのものは一つ30キロ程度の重さがあるそうです。インドでは都市ガスはあまり普及しておらず、荷台いっぱいにガスシリンダーを何層にも積みあげて走る三輪自動車や、痩せた男性が自転車の荷台に三つ四つのシリンダーをくくりつけて必死にペダルをこいで走っている姿はよくみかける風景です3 。自転車による配達は、シリンダー一つ3ルピー(約5円)、一日あたりおよそ15から18のシリンダーを配達して一日50ルピーあまり(約80円)、月1500ルピー(約2400円)の収入をえるというのが標準的なところだそうです4 。彼がもし一日50ルピーの支出で暮らしているならば(実際最低レベルの借家さえあきらめ路上生活でもしない限り赤字となる額です)、計画委員会によれば彼は貧困線以下ではない!、というようなニュースが有力紙の紙面をにぎわせていました。

彼はなぜ一日50ルピーしか支出できないのに貧困線以下ではないと計画委員会は述べているのでしょうか?

正確には、計画委員会は、2011年6月の時点では、5人からなる家計を想定すると、一カ月あたり、農村部で3905ルピー、都市部で4824ルピーの支出に達しない家計(それぞれ6000円、7500円ほど)が貧困線以下であると最高裁に報告したのです。この値はすぐに、メディアなどにより、一人あたり一日あたりに換算されて広く報道されました。つまり、一カ月30日として計算すると、農村部では一日26ルピー以下、都市部では32ルピー以下である場合に(それぞれおよそ40円、50円)貧困線以下と定義できると計画委員会は決め、それ以上を支出している者は、政府の貧困線以下の人々をターゲットとした福祉プログラムへのアクセスを認められなくなる、というようなニュースとしてインドを駆け巡ったのです5

このような次第なので、一日50ルピーを支出しているわれらがガスシリンダー自転車配達人は、扶養すべき家族がなく一人暮らしであるならば、都市部では32ルピーとされた貧困線の下ではないということに確かになります。

この計画委員会の提出した貧困線の値に対して、インドにおいて「飢えからの自由」を実現しようという運動を推進するインフォーマルなネットワークであるThe Right To Food Campaignはアルワリアに宛てた公開書簡で、計画委員会の委員に「一日25ルピー/32ルピーで生活せよ、この額が基準として『十分(adequate)』であるとする根拠を公衆にわかりやすく説明できるようになるまで。もし説明できない場合には、くだんの宣誓供述書は取り下げられるべきであり、あるいはあなたたちは辞任すべきである」と激しく挑戦しています6 。有力紙もこの問題を大きく取り上げ、街かどで飲めるチャーイ(紅茶)一杯すら7ルピーから10ルピーするというのに、市井の感覚と今回示された貧困線がいかにかけはなれているか、「ひどい冗談だ(cruel joke)」などと報道しています。また、中央政府の連立政権の中核である会議派の総裁ソニア・ガンディーが委員長を務めるNational Advisory Council7の委員のなかにもこの定義に疑義を呈するものがおり、たとえばN.C. Saxenaは「32ルピーでは犬や動物のみが生存できるにすぎない」とコメントしています。

こうした非難の高まりをみて、連立政権は腐敗問題やインフレ問題でこのところ窮地に立たされていることもあり、本件でさらに支持率を失うことを避けようと、すぐに火消しに努めました。政府(農村開発省)と計画委員会は、共同声明を10月3日に発表し、「計画委員会の方法を用いる現在の州別貧困推計が、さまざまな政府のプログラムやスキームに含まれるべき世帯数の上限を課することに用いられることはないであろう」と記しています8

また、貧困線の値自体についても、計画委員会は、今回の数値は2004年度の貧困線をインフレの分だけアップデートしただけの暫定値であり、2011年の全国標本調査(National Sample Survey: NSS)の消費支出データに基づく最終的な数値の計測は2011年度のNSSが完成したのちにのみ計測可能だとも繰り返し強調しています9 。さらに、アルワリアは、今回発表した貧困線を「事実上は正しい(factually correct)」と擁護し、同時に、「Tendulkar委員会の貧困線により、本来ならば特別な支援をうる資格がある家庭が排除される結果になると危惧する理由はどこにもない」、「政府により助成される食料や他のベネフィットの受給資格は、貧困線とは切り離され、より多くの人々に広げられるだろう」と述べるなど、一方で、計画委員会が独自の計算をしているのではなく、専門家委員会であるTendulkar委員会10 の提案した貧困線の推計方法が現在は公式に採用されており、これに依拠していることを確認し、他方で、今回の提出された貧困線は政府の福祉プログラムの受給資格としては用いられないことを強調して、事態の鎮静化に努めています。 

アルワリアが触れているTendulkar委員会は2005年に貧困の推計方法を検討するために設けられた委員会で、2009年に報告書を計画委員会に提出しています。計画委員会は、1979年に、農村部で一日あたり2400kcal、都市部で2100kcalの摂取を基準とし、これに必要な財・サービスの消費バンドルを農村部および都市部につき特定して、このバンドルを購入するための支出を推計し、1973年度のNSSをもとに最初の貧困線を決定しました11 。このときの貧困線は農村部で一カ月49ルピー、都市部56.4ルピーでした。その後は、この消費バンドルは一定のまま、さまざまな物価指数を使って、この値をアップデートしてきました。

貧困線のアップデートをするには、消費バンドルは一定のままでよいのかなどいろいろな問題がありますが、そのうちの一つに、消費者物価指数が生活費を必ずしも正確には反映せず、そのために設定された貧困線では実際に摂取できるカロリーが下がってきているという問題があります。それゆえ、計算上形式的には2004年度の貧困線の支出額も2400kcal、2100kcalの摂取を基準としていることになってはいますが、現実に2004年度の貧困線の支出額で摂取できるカロリーはおよそ1820kcalにすぎないとのことです。いいかえると、カロリー基準の貧困線は事実上はすでに放棄されているといってもよい乖離が存在しています。いずれにしても計画委員会は、2004年度には農村部では一日12ルピー、都市部では20ルピー、人口の27.5%(農村部28.3%、都市部25.7%)が貧困線以下であると推計しました。

2009年に提出されたTendulkar委員会の推計方法に関するレポートは、1973年度の消費バンドルのままで推計を続けていること、そして、1973年度の貧困線をアップデートするのに用いられているウェイトや個別の物価指数は、いずれも時代にそぐわなくなっていると指摘しつつも12 、基本的にはこれまでの計画委員会の方法を肯定し、とくに都市部の貧困線については計画委員会の2004年度の推計は基本的にそのままでよいとしました。なぜなら国際連合食糧農業機関(FAO)が基準としている1800kcalに近いカロリーを摂取できること、また教育と健康にもそれなりの支出をでき、貧困線を定める消費バンドルのより良い定義を与えることも可能な額であるという理由です。これに対して農村部の貧困線については、農村と都市との価格差を調整した上で都市部と同じ消費バンドルが用いられるべきことを提案しました。その結果、カロリー基準からは明確に遠ざかると同時に、農村部における教育や医療などへの支出がより大きく捉えられ、2004年度においては、貧困線は、都市部については計画委員会の推計値20ルピーに変更はありませんが、農村部については計画委員会の示した12ルピーではなく15ルピーであるとし、その結果インド人口の37.2%(農村部41.8%、都市部25.7%)が貧困線以下の生活水準にあるとしました。

計画委員会が2011年1月にTendulkar委員会の推計方法を受け入れると公表し13 、そのため貧困線以下の人口が、2004年度時点について27.5%から37.2%へとおよそ10%ポイントあまり増えました。そして今回発表された基準によれば現在の人口の32%が貧困線以下とみつもられ、それゆえに2004年度からは5%ポイント貧困が減少したということになります。

さて、そもそも今回の貧困線の値は、2001年から公益訴訟として最高裁に係属している、通称「食料への権利(the Right to Food)」訴訟14 のなかで提出を求められたいわば訴訟資料であり、通常の訴訟であるならば政策遂行上の根拠に直接になるものではないはずです。しかし、公益訴訟は対立する二当事者間の過去の権利関係の裁定にかんする争いというよりも、将来に向けて不特定多数者の利害にかかわる立法政策的な特徴があり、今回の訴訟も実にそのような訴訟で、すでに訴訟開始から10年あまり経過しているものの最終判決はまだでておらず、これまでいくつかの重要な中間命令が下されています。たとえば、すべての小学校で調理された昼食(cooked mid-day meals)を供給すること、公共配給制度(PDS)のアントダヤ食料計画の対象である1500万の最貧困層に一カ月35キロの穀物を十分に安価な助成価格で提供すること、などを最高裁は命じています。

この訴訟のなかで、最高裁は、2011年5月14日に、計画委員会が貧困線として定めている都市部20ルピー、農村部15ルピーでは、もともと設定されている2100kcal、2400kcalを摂取することは2011年の時点の物価水準では不可能であるというTendulkar委員会の報告に基づき、計画委員会に対して、2011年5月あるいはそれ以降の物価指数に基づき貧困線の改定を検討するよう命じたのです。

今回問題となった貧困線は、この最高裁による指令をうけて提出された宣誓供述書のなかで報告されたものです。つまり、訴訟資料として最高裁に提出されたものであるにもかかわらず、問題が即座に政治化したのは、公益訴訟においてまさに政策的な問題が争われていたからです。

しかし、貧困線はそもそも学術的ないし技術的で客観的あるいは科学的な概念ではないのでしょうか? 

比較的よく知られているかもしれませんが、貧困線あるいは貧困者比率は計測方法によって随分とその値は変化します。計画委員会は今回32%が貧困線以下であるという数字をはじき出していますが、たとえば、N.C. Saxena委員会は2100kcalの基準を用いるならばインドの農村部の人口の少なくとも50%が貧困線以下とみなされるべきだと2009年に報告しています15 。また、A.K. Sengupta委員会は一日当たり20ルピーの消費支出を基準とするならばインドの人口の77%が貧困であると2007年に推計しています16

このようにあまりも異なる推計が生じるのは、貧困線の計測には難しい問題がいくつもあるからです17 。学術的なレベルだけでも十分に複雑です。たとえば、第一に、貧困の定義の問題、つまり、絶対的貧困か相対的貧困か、消費カロリーや最低限の衣食住をみたすに十分な収入ないし支出で定義すべきか、そのほか自己の属する社会への参加や享受できる自由や権利などの潜在的な状況を含めて定義すべきか、第二に、貧困線自体の計測の問題、つまりサンプルをどのように選ぶか、支出を基準とするか収入を基準とするか、データ収集のために質問する際に求める回想期間は一週間か一カ月か一年か、回想期間は一律とするのか対象ないし食品ごとに変えるのか、第三に、アップデートの問題、人々の生活や嗜好が変化し、物価水準や商品間の相対価格が変化する中で、どう貧困線をアップデートするか、第四に、結合の問題、ライフサイクル、ジェンダー、年齢、家計の構成、地域などの違いをどう集計するか、など。これらの問題は相互に密接に関わっており、貧困線の計測にあたっては避けては通れず、それぞれどう判断して選択し、計測するかによって、結果は大きく異なってきます。

さらに、貧困線がたとえば貧困対策政策に用いられると、問題は政治化しさらに複雑になります。インドのように大きな貧困層を抱える国ではとりわけ、財政規律を重視する勢力は貧困線をなんとか低く抑えねばならず、逆に支持率を高めたい派閥は貧困線を低くするよりは高くすることに多大な努力を費やすでしょう。今回インドで貧困線問題が政治問題化したことも、公共配給制度や現在議論が行われている食料保障法案(Food Security Bill)などにおいて、中央から州への予算配分額や、個々人の受給資格につき、貧困線や貧困者比率が基準として直接あるいは間接に用いられるケースがありうる、あるいはあるのではないかという懸念があるからです。また、貧困線の推計方法を改訂するよう計画委員会に命じ、Tendulkar委員会を設置した現連立政権のそもそもの決定も、よりよい計測方法があるのではないかという純粋に科学的な問題に加えて、こうした政治的な駆け引きから自由であったとは思われません。

さて、今回の貧困線騒動について、一歩引いて騒動自体を相対化するような識者の見解を最後に紹介しておきましょう。たとえば、歴史学の博士号も持つ高名なジャーナリストであるスワパン・ダスグプタは、Time of Indiaの紙上で(09/10/2011)、「計画委員会のあまりに馬鹿げた貧困線はさておき、一見したところではわからないけれども同様に愚かしいことは、経済学者やNGO、政治家たちがかかわる貧困刈り競争(competitive poverty hunt)である。インドへの思いは、『貧しく脆弱な者』を数えるグロテスクさでもって測られるようだ。数えれば数えるほど、より大きなやすらぎが心にもたらされるのだ(the more you count, the better for the soul)」と、貧困問題にかんする現在のパラダイムそのものを痛烈に批判しています。

同時に、ダスグプタは、貧困の経済学は、経済学の貧困を露呈させているだけだという趣旨の辛辣な批判を展開しています。「インドにおける貧困者数の推計が32%から77%まで違っているということ自体が、経済学が『社会科学』であるという主張に対する注釈だ」と述べ、今回の騒動の第一の結論は「経済学者の世界一の供給国となった国にとってはまったく異端と思われるかもしれないが、経済を運営するということは、経済学者に委ねるには、あまりに重大すぎることが明らかになった」ことであり、第二の結論は、「世銀経済学の無謬性を腹蔵している……アルワリアにとっては、皮肉にも多大な満足を与えると思われる」が、計画委員会はもはや不要な機関であるということだ、と述べています。世銀などの国際金融機関は、市場の自由、貿易の自由を重視しており、“計画”委員会とはそもそも相容れなかろう、という皮肉です。

たしかに、今回の貧困線騒動に、広い意味での貧困ビジネスあるいは貧困問題を梃子にした政治的な支持率競争の匂いがつきまとうこともまた一面の事実であるかもしれません。それでも、「貧しいことは気の滅入る(soul destroying)ことであるが、……人々を貧困のままに放置しておくことは犯罪に等しい」とダスグプタ自身、貧困削減が重要な課題であることを認めています。それでは、いったい、どのように貧困問題にアプローチすればよいというのでしょうか? 

今回の貧困線騒動がはからずも再確認したことは、貧困ないし貧困線問題がインド社会のなかでもつ重要性と政治性であり、それゆえに、貧困の定義にしても、貧困をもたらす複雑な諸関係の理解とそれへの対処方法についても、どんなアプローチを採用するにしろ、司法部までもかかわってくる統治機構内の現在の所轄や責任問題、インド社会の内部にある構造的なあるいは国際社会もかかわるより広い利害関係、さらには諸々のイデオロギー、などなどの問題から自由であることは難しい、ということだと思われます。いいかえると、少なくともインドの文脈では、科学的かつ客観的な貧困問題へのアプローチというものを求めることは、学術的で価値中立的な場所に足場を置いたと思った瞬間にその場所が政治化する、という業との、絶えざる対話を含むものであろうということを、今回の貧困線騒動は示唆しているように思われます。

参 考
  1. 以下、本レポートの事実関係は、とくに断りがないかぎり、インドの英文有力紙The Times of India、The HinduおよびThe Economic Timesに依拠しています。
  2. 計画委員会の委員長は首相が兼務するため、副委員長が事実上のトップです。アルワリアは世銀など国際機関の要職を歴任した高名な経済学者で、インドの経済自由化政策の立案および実施に長年貢献してきた有力者です。5月のストラス・カーン辞任後のIMF専務理事選びの際には、アジア出身初のIMF専務有力候補としても、その名前が取りざたされていました。ただし、アルワリア本人はまったく希望していなかったとのことで、従来の慣行通り欧州(フランス)出身者であるラガルドが専務理事に就任しています。
  3. 1シリンダー当たりのガス(14.2キロ)の政府助成価格は、原油価格高騰により6月に50ルピーあまり値上がりして、デリーでは現在400ルピーほどです(Chandrasekar, C.P. (2011) ‘The Oil Shock’, Frontline 28(15) pp.4-8)。これを料理用ガスコンロにつなぐと、料理をする頻度にもよりますが、一つのシリンダーで三カ月ほど持ちます。
  4. 低所得者階級の一カ月の所得のイメージは、筆者が身近に見聞した限りの情報で正確なものではありませんが、たとえば、建設現場の日雇い労働者や街角の屋台の商売人で月およそ3000ルピーから7000ルピー、車の運転手でおよそ6000ルピーから1万ルピー、家事関係は、経験やできる料理、住み込みか通いかにもよりますが、コック兼ハウスキーパー(料理も含む家事一般)は3000ルピーから1万ルピー、スイーパー(掃除のみ)は1000ルピーから5000ルピーというところでしょうか。
  5. なお、都市部の貧困線32ルピーのうち18ルピーが食料、14ルピーがそれ以外、農村部の貧困線26ルピーのうち16ルピーが食料、10ルピーがそれ以外という内訳とのことです。食料については、自ら生産し消費するものの値段も含まれています。また、世銀が設定している貧困線は一日1.25USドル)、アジア開発銀行のそれは一日1.35USドルです。 
  6. An Open Letter from the Steering group of the Right to Food Campaign to the Planning Commission of India, dated September 30, 2011(http://www.humanrights.asia/news/forwarded-news/AHRC-FOL-013-2011)。
  7. 連立政権(UPA)によるマニフェスト(Common Minimum Programme)の実施を監視するために、政府が2004年に設置した政府機関であり、委員長には中央政府の閣僚と同じランクと地位を認められています。委員は元官僚(Saxenaら)、社会活動家(Aruna Royら)、学者(Jean Drezeら)など15名ほどで構成されており、いわばソニア・ガンディー委員長のブレインであり、強い政治的影響力を今現在はもっています。
  8. Joint Statement by Deputy Chairman, Planning Commission and Minister of Rural Development Govt. of India, October 3, 2011. 計画委員会のウェブサイト(http://planningcommission.nic.in/)からダウンロード可能です
  9. Statement of Shri Montek Singh Ahluwalia, Deputy Chairman, Planning Commission (For the Press Conference on 3rd October, 2011). 上記の計画委員会のウェブサイトからダウンロード可能です。
  10. 計画委員会に提出された報告書は上記の計画委員会のウェブサイトからダウンロード可能です(Report of the Expert Group to review the methodology for Estimation of Poverty (Govt. of India, Planning Commission, 2009 November))。
  11. インドの貧困の計測については、たとえば、Rath, N. (2011) “Measurement of Poverty: In Retrospect and Prospect,” Economic and Political Weekly, 46(42) pp. 40-43が、簡潔に独立前から今にいたる歴史を説明しています。
  12. そのほか技術的な問題として、混合回想期間(mixed reference period)に基づくべきことを提案しています。つまり、支出頻度の少ない衣服、履物、耐久消費財、教育、医療費などは過去365日間の支出についての質問(回想)、食費など他の品目については過去30日と過去7日の支出についての回想で計測するということです。これまでは基本的にどんな品目についても過去30日の支出に基づく一律回想期間によるデータで計測されていました。
  13. 2011年1月のプレスノートで計画委員会は、Tendulkar委員会の提案には過去のデータとの一貫性の問題などがあるものの、現時点ではこれを採用すると発表しています(Press Note on Poverty Estimates, Govt. of India, Planning Commission, 2011 January) 。これも上記の計画委員会のウェブサイトからダウンロード可能です。
  14. People’s Union for Civil Liberties and Others v. Union of India and Others, (Civil Writ Petition No.196 of 2001)。この訴訟は、憲法21条の「生きる権利(the right to life)」には「飢えからの自由」ないし「食料への権利」が含まれると訴える市民団体によるもので、また、さきに紹介した公開書簡を発表したThe Right to Food Campaignもこの訴訟が進む過程で生まれた団体および個人のインフォーマルなネットワークです。
  15. Report of the Expert Group to Advise the Ministry of Rural Development on the Methodology for Conducting Below Poverty Line (BPL) Census of 11th Five-year Plan, Govt. of India, Ministry of Rural Development, August 2009。農村発展省のウェブサイト(moef.nic.in/)からダウンロード可能です。
  16. Report on the Conditions of Work and Promotions of Livelihood in the Unorganized Sector. Govt. of India, National Commission for Enterprises in the Unorganized Sector, August 2007.なお報告書に今ではウェブではアクセスできないようです。ただし、同報告書はAcademic Foundation(New Delhi)から2008年に公刊されています。
  17. たとえば、Banerjee, A. et al. eds. (2006) Understanding Poverty (New York: Oxford University Press)の第一章(A. Deaton,“Measuring Poverty”)に、こうした計測上の問題が説明されています。