ethiopiaEthiopian Airlines エチオピア航空

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

エチオピア航空は、Bole国際空港をメイン・ハブとするエチオピアの国営航空会社である。過去60年の間に同社はアフリカを代表する航空会社のひとつとなり、効率性、及び、トラブルのない運行においてアフリカでは群を抜き、ほぼ全ての稼働年度で利益を上げている。同社はまた、エチオピアにおける主要産業の1つともなっている。エチオピア航空はアディスアベバから週157回の国際便、トータルで週410回の世界各国への国際便の出発と共に、国外53地点の目的地を提供している。

エチオピア航空は、TWAからの支援を受けハイレ・セラシエ皇帝によって1945年12月30日に設立された。同社は1946年4月8日、ダグラス社製のDC-3プロペラ機5機によるアディスアベバ=カイロ間週一回の運行からサービスを開始した。1958年にはフランクフルトまでの長距離サービスを始め、1963年1月にはアディスアベバ=ナイロビ間で初のジェット機サービスを開始した。1960年初頭にはエチオピア地勢図を提供して、エチオピア=米国地図作成ミッションにおいて最初の飛行支援を行った。

当初は、アメリカ人のパイロットと技師に頼っていたが、1971年のエチオピア航空25周年までには、エチオピア航空はエチオピア人職員によって運営されるようになった。1998年には大西洋横断サービスを始めている。2007年にはルワンダ、タンザニア、チャド、ジブチ、マダガスカル、スーダンを含むアフリカ各国から研修生を受け入れ、操縦技術と航空機保守の基本訓練を提供した。ケニヤ航空、ジンバブエ航空、ベルビュー航空、カーボベルデ航空、マダガスカル航空の従業員に対しても訓練を提供している。

エチオピア航空は、南アフリカ航空、ルフトハンザ航空、TAAGアンゴラ航空、ガルフ航空、エアワン、ブリュッセル航空、ブリティッシュミッドランド航空(BMI)、ルワンダ航空、サウジアラビア航空とコードシェアを締結している。

エチオピア航空は最新の保守基地を備えており、この基地は、D整備、エンジン、分解修理、部品修理、簡易航空機保守技術、他の航空会社向けの技術支援・マネージメント支援を行っている。この保守基地は、米連邦航空局(FAA)によって認可されている。

エチオピア航空ではすべての飛行訓練システムが自社製である。エチオピア飛行訓練学校では、パイロット、航空機技師、客室乗務員(サービス研修生)、マーケッティング・販売スタッフ、マネージメント、会計担当に対して訓練を提供している。

エチオピア航空は、2008年10月25日にナイジェリアのラゴスでAkwaaba Travel Marketが主催したアフリカ旅行表彰式において、2008年の「アフリカにおける最優良航空会社賞」を授与された。Akwaaba Travel Marketは国連世界観光機関(UNWTO)により認められた西アフリカ唯一の国際旅行展示会である。この展示会は、西アフリカ初の国際旅行雑誌African Travel Quarter (ATQ)によって毎年開催される。Akwaaba Travel Marketは、世界で最も有名なロンドンの旅行マーケットやベルリンの国際旅行マーケットの、いわばアフリカ版である。

このほかにもエチオピア航空は、Aviation and Allied Business Publicationから2008年8月にヨハネスブルグで優秀企業賞を、2008年10月23日にはブリュッセル空港賞を受賞したが、エチオピア航空は同賞を受賞した初のアフリカの航空会社であった。

国内の所在地

Bole International Airport, Addis Ababa, Ethiopia: Tel: (+ 251) 11 665 2222; Fax: (+ 251) 11 661 1474

製品・サービス

エチオピア航空は、世界50以上の目的地に向けた定期的な国際乗客飛行サービス、32の目的地への国内サービス、乗客と貨物のチャータ便の運行を提供している。同社はアフリカで最新の航空機を運行している。主な所有機・リース航空機(計36機)は以下の通り:
Boeing 767-300型機(10機)、Boeing 757-200型機(8機)、Boeing 757-260 F型機(2機)、Boeing 747F型機(2機)、MD-11F型機(2機)、Boeing 737-700NG型機(5機)、B737-800W型機(2機)、フォッカー50型機(5機)。

従業員数

4, 850名。

財務情報

2008/09営業年度では、エチオピア航空は280万人(対前年比12.3%増)の乗客を輸送して120億2000万エチオピア・ブル(9億8000万USドル、対前年比32.8%増)の収入、13億4500万ブル(1億800万USドル、対前年比165%増)の純利益を上げた。同時期に前年より38.4%増の10万1000トンの貨物を輸送。以上の実績は、64年に渡る同社の航空事業の歴史で最高の実績であり、これは、積極的なマーケッティングと大規模なコスト削減の成果である。

市場シェア

エチオピア航空は、乗客数と目的地の数から見てアフリカで4番目に大きい航空会社である。

事業目的

「2010年までに、世界クラスのアフリカ航空会社として、リーダー的地位に達することを目的とする。」

ビジネスモデル

アフリカにおいて、政府100%保有で、かつ成長している企業を見つけ出すことは極めて困難である。エチオピア政府が事業すべてを所有していながら、エチオピア航空は創業以来ほぼ全ての年度において利益を上げている。国営会社としての成功は、政府が経営に介入せず、独立した経営が許されているということに、概ね基づいている。エチオピア航空はまた、政府よりも多額の投資をエチオピアの文化と観光促進に対して行っており、その額は展示会・旅行事業予算の25%に及んでいる。
2010年度にエチオピア航空は、収益目標10億ドルの実現、保有機材をジェット機30機まで増加、国外目的地を60地点まで拡大、訓練と貨物サービスの拡張、ケイタリング用ビルと4つ星ホテルの新設、エチオピア航空アカデミーの拡張、B787シミュレーターの導入を、戦略プランとして掲げている。

エチオピア航空は顧客ニーズに合わせて空路網を改善するため、2008年戦略の見直しを行った。クウェートとザンジバルは空路網を強化する。さらにルフトハンザ航空、ブリュッセル航空、ガルフ航空、エアワンとコードシェアを新規に締結した。ルフトハンザ航空との連携によってアディスアベバ空港とフランクフルト空港とのコードシェア協定が締結され、エチオピア航空とルフトハンザ航空双方が自社サービスを拡張、効率化できるようになった。同様にして、ブリュッセル航空、ガルフ航空、エアワンとの提携により互いの市場へのアクセスが広がり、顧客サービスの利便性と柔軟性が実現された。

航空技術においてアフリカでのトップの地位にあり続けるため、エチオピア航空は、自社のパイロットのみならず他社のパイロットを訓練できるよう、新型のB737-700/800NGシミュレーターを購入した。保有航空機の増加計画では、エチオピア航空はMD-11 貨物輸送機1機を購入するための契約をボーイング社と交わした。さらに、エチオピアにおける生花輸出事業の急激な需要に対応するため、100トンの容量を有するGE駆動式ボーイング747-200貨物機2機をリースした。また、継続的な乗客輸送の増加に対応できるよう、新たに2機のB767-300ER 旅客機のリースが予定されている。

エチオピア航空は、ボンベイ、ドバイ、ローマ、フランクフルト、ジッダ、ヨハネスブルク、ルアンダ、ラゴスなどの重要マーケットへのノンストップ・サービスと運行頻度の大幅な増加、有望マーケットであるバーレーン、ザンジバル、ソナといった新規目的地への運航を開始する。

保守・修理・点検(MRO)事業に関する2010年展望戦略に即して精力的なマーケッティング活動を行う。エチオピア航空MROセンターやエンジン・機体・部品の保守契約に顧客を招聘する。シミュレーターや(自社内と顧客企業での)基本訓練を促進し、経験豊富な職員を顧客企業に派遣する。

わが社はICTを重視し、世界クラスのICT能力をもつ航空会社をめざしている。このためICT変革のための大型投資計画に着手した。

このICT業務転換事業は、2年をかけて3000万ドルの投資を行う。エチオピア航空はシステム統合と導入のため、2008年4月11日にSatyam Computer ServicesとErnst & Youngの2社を選定した。エチオピア航空は次世代のICTソリューションを採用する。

人材管理部門は以下の活動を実施した:
395人を雇用して各種の学校で訓練を受けさせた;148人の従業員を管理職養成コースに参加させた;1034人の従業員をキャリアップ・コースに参加させた;企業教育支援プログラムを通して895人の従業員に夜間教育と通信教育を受けさせた;21人の従業員に短期奨学金を給付、国外で訓練を受けさせた。

株主・所有権益

エチオピア連邦政府の100%所有。

政府との関係・社会貢献

エチオピア航空は国営会社であり、外務大臣が会長である。エチオピア航空は、エチオピアにとって最大の外貨収入をもたらしている企業である。

製品開発

2009年7月、ボーイング社とエチオピア航空はボーイング777-200LR型5機の発注を発表した。エチオピア航空は超長距離機777-200LR型モデルを注文した初のアフリカ航空となった。エチオピア航空はボーイング787ドリームライナーの導入を決めた初のアフリカの航空会社であり、2005年に10機を発注した。2010年10月にはB777-200LR型機、2017年にはA-350-900型機を運行する予定。777-200LR型5機の発注額は13億USドル。29億ドルでエアバス350-900型12機も発注。また、ボーイングB78710機とボンバルディア航空機8機も発注している。これら長期投資によってエチオピア航空は、アフリカにおいて環境に配慮した最新の航空機をもつ企業の1つになる。エチオピア航空は、過去5年間で最も急成長している航空会社の1つであったが、このトレンドを維持していく。求められている航空機レンジに対応するため、ボーイング、エアバス、ボンバルディア各社の航空機によって保有機種を多様化していく。