egyptCentamin センタミン

アフリカ成長企業ファイルは2008年度~2009年度に実施した調査事業の成果です。

会社概要と沿革

センタミン・エジプト株式会社(Centamin Egypt Limited)は、1995年以来エジプトで金鉱を積極的に探査している、鉱物探査及び地域開発会社である。センタミンは、オーストラリア証券取引所、ロンドン証券取引所のAIM市場、トロント証券取引所に上場されている。センタミンの主要な資産はSukariの金鉱プロジェクトの採掘権で、エジプトのEastern Desertに位置している。Sukariの金鉱プロジェクトは2007年第2四半期に開発が始まり、最初の金棒は2009年6月26日に生産された。

センタミンは1970年3月24日に南オーストラリア州で設立され、1970年10月8日にオーストラリア証券取引所に上場された。オーストラリアで様々な金、ベースメタル、ダイヤモンドのプロジェクトに携わってきた。現在はKambaldaでNelson's Fleet金鉱のプロジェクトに関するロイヤリティー協定を保持している。

Sukari採鉱ライセンスは160 km2のエリアをカバーし、期間は30年で、オプションの30年を含んでいる。Sukari金鉱のプロジェクトは最初の15年間は露天掘りが予定されている。
78Mtの金鉱石(トンあたり1.5gの金)採掘が期待されており、3.7Mオンス金が見込まれる。
紅海に隣接する地区の地下から処理水を取り込み、電力は、重油を使う28MWの発電所を鉱区に建設する。

国内の所在地

361 El-Horreya Road, Sedi Gaber, Alexandria, Egypt; Telephone: (203) 54 11259

プロジェクトは、カイロからハイウェイで750kmの紅海に面する海岸の町Marsa Alamから南西約23kmのEast Desertに位置する。

製品・サービス

鉱区の取得、資金調達、探査、開発と事業運営。主要業務は、貴金属及びベースメタルの探査とSukariプロジェクトの開発である。

従業員数

現在サイトに1,000人以上が働いている。

財務情報

Sukari金鉱プロジェクトの商業生産への展開に関する最終予備調査(DFS)は、2007年2月に終了した。DFS調査結果のサマリーは次のとおりである:
DFSは、4mptaプラントは15年以上にわたって年間平均20万オンスを生産することができ、安定した利潤がえられるとの結論を下した。基本建設費の合計は2億1600万USドルと見積もられ、15年超の採鉱期間、290US$/オンス(ロイヤリティー3%を含む)の平均運転費用になる。

2008年6月30日段階でセンタミンは、DFSの決定以降における価格上昇、プロジェクトの遅れ、為替変動によって費用見積もりには危険度が20%あるとしている。平均運転費用も、消耗資材価格の上昇で365US$/オンスになると再評価している。

2009年の資源確認掘削によって従来の推定(Inferred)埋蔵量は表のように改められ、精則Measured)埋蔵量と概則(Indicated)埋蔵量が明らかになった。資源量は、0.5g/tのAuカットオフグレードで3.3Mオンスから6%増え、9.91Mオンスになった。

キャッシュ・フローの連結財務諸表( 2009年6月終了の第1四半期)

下記の表は、2008年6月30日までの5年間における連結所得、及び株主資産変動に関する概要。

市場シェア

Sukari金鉱プロジェクトは、エジプトで開発される最初の大規模な金鉱として注目されている。Sukariは、2009年に操業開始予定の最大級の金鉱の1つで、埋蔵量が10Mオンスを超える金鉱では、唯一メジャーによって保有されていないものである。金の生産は2009年6月末に開始し、年間生産量は2012年までに50万オンス以上になる。Sukariには、640万オンスの確認済み埋蔵量を含め約1289万オンスの金があるが、新たな資源見積りが第3四半期にリリースされれば、その数字はさらに増加すると予想される。センタミンは1500万オンスに達すると予想している。エジプト全体での金埋蔵量は7000万オンスと見積もられる。2009年のセンタミンの市場シェアは21.4%と見込まれる。

事業目的

「次なる大金鉱を発見する」

ビジネスモデル

センタミン・エジプトは、従来のジュニア資源企業にはない「有望鉱山ジェネレーター」ビジネスモデルを追求している。まず、あまり費用のかからない基礎調査(地図作製、基礎地質調査、フィールドサンプリング)を完全に実施する。次に、ジュニア資源企業やメジャー企業からパートナーを募り、パートナーにプロジェクト権益の半分を渡して、探鉱費用を捻出するというものである。

センタミンは現在エジプトでは単独で事業を行っているが、西オーストラリアKimberley地方のNichollsダイヤモンド・プロジェクトでは合弁会社の10%権益を、西オーストラリアSt. IvesのNelson Fleet金鉱プロジェクトでは子会社のViking Resources Limitedを通じてロイヤリティー権益をもっている。役員会の意向はエジプトでの大きな金生産者となることであり、主要な北アフリカ金採掘会社としての地位を確立することである。 会社は、Sukariプロジェクト以外にもEast Desertの他の採掘権エリアでの探査にも専念している。

負債と資産をミックスさせる従来の資金調達方法でなく、新規株式によってSukariプロジェクトの開発資金を調達するという役員会の決定は、会社がプロジェクトの将来に対して資金の流れを完全に制御することを可能とし、結果として将来の生産はヘッジされていない。会社は健全な財務状態にあって、価値を生み出す資産を持っており、潜在的な金価格上昇による資本の拡大を利用し株主への配当の拡大にも資する。Sukari金鉱のプロジェクト資金は全額、金の生産から賄われる。その結果、会社は負債による資金調達を求める必要はなく、ヘッジも必要としない。2008年6月30日、現金残高は1億8200万USドルである。

株主・所有権益

センタミンの完全所有子会社であるPharaoh Gold Mines NLは、Egyptian Minerals and Resource Authorityとともに事業会社であるSukari Gold Mining Companyを設立し、両者は各々50%を所有する。

連結企業体は、以下の合併事業に現物権益をもっている。

主要な株主

Paulson & Co 11.16%、Directors 8.50%、Barings Asset Mgt 7.85%、Fidelity Investments 7%、Acuity 4.5%、AEGON UK 4.05%、Blakeney Asset Mgt 3.5%、JP Morgan Asset Mgt 3.3%、Henderson Global 2.84%

政府との関係・社会貢献

1995年に、非上場のオーストラリア企業であるPharaoh Gold Mines NL (PGM)は、Egyptian Minerals and Resource Authorityとエジプト・アラブ共和国との間で、エジプトEast Desertでの金及びベースメタルを探査するための契約(The Eastern Desert Concession Agreement)を締結した。この協定はEgyptian Law 222 for 1994として採択され、1995年1月29日に発効した。

採掘権協定は利益分配契約である。協定によりセンタミンの完全所有子会社であるPharaoh Gold Mines NL (PGM)は、考古学的及び進行中の探査費及び開発費の全てを負担する。これらを負担した後、利益はEgyptian Minerals and Resource Authority (EMRA)と折半される。

資本コストの回収には、PGMがLIBOR+1%を超過しない最も有利な利率を得るために最善の努力をするという前提で、PGMと提携していない金融機関から借入した資金の最大50%に対する利子を含むものとする。PGMによるロイヤリティー支払い及び回収可能な経費控除の後、Sukariプロジェクトからの収益の残余は、PGMとEMRAによって等しく分配される。ただし、全年を通して収益があった年の1年目と2年目は、収益の10%をPGMへ奨励金として支払うものとする(PGMへ60%及びEMRAへ40%)。また、これに続く2年間は、収益の5%を追加としてPGMへ支払う(55%はPGMへ及び45%はEMRAへ)。

さらに採掘権協定の下では、下記のような税の免除が与えられる。PGMはエジプトの政府によって課されるすべての租税から15年控除の権利を与えられる。PGM、EMRA及び事業会社は、Sukariプロジェクトで探査と採鉱業務目的で必要とされる機械類、機器及び消耗部品の輸入に関して関税を免除される。PGM、EMRA、事業会社及び各々のバイヤーは、Sukariプロジェクトで生産された金や関連鉱物の輸出上の関税あるいは租税から免除される。また、PGMは自由に、いつでも、政府による制限、税金あるいは関税なしで、米ドルあるいは他の交換可能な外貨でPGMの純収入や費用回収分のキャッシュを移転することができる。

エジプト政府による許認可に関連してプロジェクトの進行に2年の遅れが生じたが、現在政府は協力的である。

センタミンのエジプトにおける操業実績により、Arabian-Nubian Shieldにある他の金鉱プロジェクトの取得と開発では、大きな先行者利益を与えられている。

センタミンがエジプト人を会長としており、またCEOは彼の息子であるという事実から、業務遂行上で地元住民との関係が容易になっている。

製品開発

センタミンは、ロンドン証券取引所への上場と、推定資源埋蔵量の増加から、メリットを得られると予想される。同社は、本年末ごろにロンドンのAlternative Investment Marketから上場株式市場へ移ることを計画している。

資源の全体的規模を拡大するため、Sukariプロジェクトでの掘削を継続することと、処理加工工場及び関連インフラストラクチャーを構築することが同社の目的である。フル生産にあたっては3つの生産グループが必要であり、各グループは掘削機一台と、最高21台のトラックを共有することになる。予定される処理工程は、粉砕、粉砕された鉱石の備蓄、研削、貴金属を含んでいる(大量の硫化物)凝縮物の浮選、凝縮物の濃厚化、凝縮物の精密ミリング、薄いシアン化物溶液での凝縮物から貴金属の濾過、活性炭への貴金属の吸収等である。

坑内採鉱は2011年に開始し、年間30万オンスの金を生産することが計画されている。採鉱は、金の含有が5g/tから10g/t程度の高品位鉱をターゲットとする。下降ラインの構築は、オープンピット生産から12ヵ月月間に開始予定であり、また、地下鉱の全面操業は18ヵ月後となる。2012年の拡張計画では、年換算で50万オンスの金をターゲットとしている。